睡眠の仕組みを理解し、工夫して快眠をえるようにすれば、生活の質が向上し、人生をゆたかにすることができます。
井上昌次郎著『ヒトはなぜ眠るのか』(講談社学術文庫)は、睡眠の仕組みと快眠法について解説した「睡眠学」の入門書です。
目 次第1章 眠りとはなにか第2章 眠りは人ごとに違うのか第4章 眠っているあいだになにが起こるのか第5章 眠りはコントロールできるのか
睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という二種類があります。これらを調節する脳部位が前脳基底部から脳幹にかけて分化しています。胎児の眠りは、脳を覚醒にみちびく原動力であり、意識を胎動させるレム睡眠です。レム睡眠は動睡眠あるいは夢見睡眠ともいいます。人生は「夢を見る眠り」からはじまるのです。そのご大脳がほぼ完成するとノンレム睡眠(静睡眠)によって、脳をまもり修復することの比重がしだいに大きくなります。こうして、二種類のことなる睡眠が役割を分担し強調しながらよりよく脳を活動させているのです。
なおレム睡眠には、情報を再編成して記憶を整理する役割があるといわれています。
なおレム睡眠には、情報を再編成して記憶を整理する役割があるといわれています。
睡眠がうまくとれないと大脳の情報処理能力にわるい影響がでます。とりわけ、発達した大脳をもつ高等動物にとっては、睡眠の適否が高次の情報処理能力を左右することになります。
人類の歴史や文化に大きな貢献をした人は眠りをけずってまで刻苦奮闘をしていませんでした。寝床に横たわり、夢見心地のなかで得た着想が科学技術の進歩に画期的なインパクトをあたえた例はいくらでもあります。長く寝る者の方が自由な発想のできる創造性豊かな人だという説すらあります。
工夫次第で睡眠は、このましいものに一層 向上させることができます。快眠によって生活の質を高め、人生をよりゆたかに充実させることができます。逆に、睡眠を長期間にわたって犠牲にしていると気がつかないうちに大きな損失をこうむることになります。睡眠についてただしく理解し、自分にあった快眠法を探求していくことが重要でしょう。
工夫次第で睡眠は、このましいものに一層 向上させることができます。快眠によって生活の質を高め、人生をよりゆたかに充実させることができます。逆に、睡眠を長期間にわたって犠牲にしていると気がつかないうちに大きな損失をこうむることになります。睡眠についてただしく理解し、自分にあった快眠法を探求していくことが重要でしょう。
本書の原本は1994年に刊行されました。2012年の講談社学術文庫版では、最新のデータを踏まえた補遺と文献案内が追加されています。睡眠学の入門書としておすすめします。
▼ 引用文献
井上昌次郎著『ヒトはなぜ眠るのか』(講談社学術文庫)講談社、2012年9月11日
ヒトはなぜ眠るのか (講談社学術文庫)
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