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ティラノサウルス(交差法で立体視ができます)

国立科学博物館で開催中の「恐竜博 2016」にいくと、恐竜の進化に関する展示・解説をみながら、想像や推理がどのようにすすめられているかを知ることができます。

東京・上野の国立科学博物館で「恐竜博 2016」が開催されています(注1)。恐竜の進化に関する最新の仮説を標本をみながら理解することができます。

生命の進化の歴史を知ろうとおもったら断片的な情報をあつめて当時の様子を想像するようにします。これはジグソーパズルにとりくむようなことです。想像するとは仮説をたてることでもあります。

明確な想像をするためには、事実を見たら、課題をめぐる前提をふまえてイメージをえがくようにするとよいです。また主体だけでなく環境にも注目して主体と環境とをセットにしてかんがえると理解が一層すすみます。


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ティラノサウルス(平行法で立体視ができます)

立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >> 




恐竜の生態と進化を理解するためには主体-環境系のモデルをつかうとよいです。主体-環境系では〈インプット→プロセシング→アウトプット〉がおこっています。

このモデルからみれば恐竜も人間もおなじです。人間が恐竜とおなじだなんて変におもうかもしれませんが原理的には生命はみなおなじです。ただし人間の場合は、システムのなかに物質にくわえて情報が非常に強力にくみこまれています。

「恐竜博 2016」では、恐竜を専門としない一般の人々にとっても有益な、想像とか推理などをすすめるときに参考になる事例を具体的にみることができます(注2)。情報処理のためのさまざまなヒントをえることができます。物事を全体的に見とおす訓練もできます。恐竜がいいのは大きくてわかりやすい、とらえやすい点にあります。分子生物学は小さくてわかりにくいです。

「恐竜博 2016」はこのように大変すぐれた展覧会です。子供用だとおもって馬鹿にすることはできません。企画者の情報処理能力の高さが展示・解説によくあらわれています。




生命の進化をとらえるためには大きな系統を大局的にとらえることが大切です。

恐竜は最初は、爬虫類の1グループにすぎませんでした。また肉食でした。しかしそのご植物を食べるようになって大型化と多様化に成功しました。断続的に植生が変化したという環境の変遷も恐竜の繁栄に大きく影響しました。

そして恐竜のある種は陸上から空へと進出しました。その一方で水中へも進出した種もありました。空へ進出した種はそのご鳥類へと進化して現在にいたっています。


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展示会場・中央ルーム(交差法で立体視ができます)


会場:国立科学博物館
会期:2016年3月8日(火)~6月12日(日)

▼ 注2
想像や推理にはつぎのような方法があることが今回の展覧会からわかりました。
  • ジグソーパズル
  • 事実→前提→想像
  • 主体-環境系のモデルをつかう

▼ 参考文献
真鍋真監修『恐竜博 2016』(展覧会カタログ)朝日新聞社発行、2016年
※ 展覧会場のショップで購入できます。