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写真1 滑空するイーの生態復元図

「恐竜博 2016」の展示・解説をみると、恐竜から鳥への進化を想像することができます。

国立科学博物館で開催されている「恐竜博 2016」では恐竜の進化について展示・解説しています(注1)。

2015年に中国から報告された恐竜「イー」は、ムササビのような皮膜(膜状の組織)をもっていて鳥類にちかい恐竜であることがあきらかになりました(写真2)。


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写真2 発掘されたイーの化石(平行法で立体視ができます)

立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >> 


イーは前足がながく、ムササビのような約10cmの「尖筆状突起」を手首にもっています。その周辺には皮膜があり、これをつかって枝から枝へ滑空していたと想像できます。 「イー」とは中国語で「翼」の意味です。推定された全長は約60cm、体重は380g、中国内の、ジュラ紀中期から後期の地層からみつかりました。

このような滑空する恐竜がそのご鳥類に進化していったのではないかと現在ではかんがえられています。

恐竜学者たちによると恐竜は、羽毛をもつものが進化の過程でまずあらわれ、そのご皮膜をもつもの、そして翼をもつものがあらわれ、それが鳥類へと進化していったというのです(注2)。

恐竜は絶滅したというよりも鳥に進化したということです。大変おもしろい見解です。このような進化学説は、弱肉強食にもとづく自然淘汰説とはことなることに注目してください。非常に重要なことです。 


▼ 注1
会場:国立科学博物館
会期:2016年3月8日(火)~6月12日(日)

▼ 注2
イーは、恐竜のなかの竜盤類の獣脚類に属します。正確にいうと、竜盤類のなかの獣脚類の系統が鳥類へと進化したとかんがえられています。

▼ 参考文献
真鍋真監修『恐竜博 2016』(展覧会カタログ)朝日新聞社発行、2016年
※ 展覧会場のショップで購入できます。