160406 作文技術
図1 メッセージを言語で確認して相手に伝える

プロセシングで生じたメッセージを確認し、相手に伝えていくための手段として作文(言語)がとても役立ちます。

人がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からいうと日本語を書くということは情報をアウトプットすることです。

わたしたちは、見たり聞いたり味わったり体験したりして実にさまざま情報を意識の内面に日々インプットしています。するとたとえば、あることを相手につたえたいという衝動が生じてきます。これはプロセシングです。そしてそのメッセージを相手につたえることがアウトプットです。このとき、メッセージを確認し伝えるための手段として言語(作文)が有用です。作文とは、言語にする以前のプロセシングで生じたメッセージを言語にすることであると言ってもよいでしょう(図1)。
 
インターネットが発達してブログや SNS や YouTube などもある今日、アウトプットの手段は言語だけでなく写真や動画もつかえます。時代は本当に変わりました。しかし自分のメッセージを確認して相手につたえる手段としての言語(作文)の有用性はまったくうしなわれていません。書いたり読んだりすると理解が一段とすすむことは誰もが体験していることです。 

 


ただし今日では、高度情報化(電子情報化)という観点から作文のとらえなおしをおこなわなければならないということは言えるでしょう。わたしたち現代人は時代の転換をすでに経験しました。

かつての学校では作文といえば国語の課題のひとつでした。しかし原稿用紙にペンで文字を書いていく時代は完全に終わりました。
 
これからは国語というよりも、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の体系のなかに作文を位置づけた方がよいでしょう。情報処理の体系をふまえるならば国語もふくめてすべての科目がこの中にくみこまれます。情報処理の一環として「日本語の作文技術」を実践すれば情報処理がさらにすすむことはあきらかです。

本多勝一さんの「日本語の作文技術」(作文の原則)はわかりやすい日本語をアウトプットするためにとても役に立ちます。あらためてここでおすすめします。


▼ 参考文献
本多勝一著『〈新版〉日本語の作文技術』(朝日文庫)朝日新聞出版、2015年12月30日
新版が刊行されました。文字が大きくなり読みやすくなりました。
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