インプットばかりしているのではなく、プロセシングとアウトプットの訓練もしなければなりません。


大学入試の大改革がすすめられようとしています(注)。今回の入試改革は明治以来の大改革だそうです。世の中がますますグローバル化していくなか、世界に通用する人材をそだてなければならないという日本国政府の方針が改革の根本にあるとのことです。


'14年12月、中央教育審議会が'20年の入試改革に関する答申を出し、学習指導要領も新しくなる。具体的には'19年度にこれまでのセンター試験が廃止され、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」がその代わりになる。


現在の高校生の受験勉強は、知識の詰め込みが大半で、大学入試でいかにそれを再生できるかが問われている。すなわち、思考力や判断力、表現力などを駆使して、多様な人々と協働する態度など、真の「学力」が育成されたり、評価されたりするような体制にはなっていない。(中略)

センター試験を廃止し、より思考力などを問う共通試験を導入。また、大学が独自に行う個別入試では、受験生の部活動や就業体験、ボランティア活動を含めた多面的な評価を行う。(中略)

入試では小論文や面接、ディベートを実施するほか、高校時代の調査書や、前述のとおりボランティア活動なども加味して評価させる。


つまり、従来型の「知識つめこみ」教育をつづけていても、21世紀のグローバル社会ではやっていけないという判断です。


* 


人間を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在としてとらえた場合、「知識つめこみ」というのはインプットばかりやっているということです。

明治維新以来 日本国は、「欧米に追いつき追いこせ」を国是にして一生懸命がんばってきました。そのためには、欧米の知識を日本人にインプットすることがとにかく必要でした。

しかしそのような時代はすでに終わりました。グローバル化の潮流に今では日本もさらされています。

そこでこれからは、思考力、判断力、表現力が必要だということです。情報処理の観点からみると、思考力と判断力はプロセシング能力であり、表現力とはアウトプット能力ということです(下図)。

160309 思考力
図 思考力・判断力はプロセシング能力、表現力はアウトプット能力


中央教育審議会などでは情報処理という用語はつかっていないようですが、インプットだけでは駄目であり、プロセシングとアウトプットの能力をこれからは伸ばしていかなければならないということです。つまり情報処理能力の訓練が必要だということです。

報道などを読んでいると複雑なことがいろいろ書いてあってわかりにくいことがありますが、要するに、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉ということであり、この観点からさまざまな情報をとらえ整理することができます。

このように、時代が大きく転換していることは大学入試改革にもあらわれています。情報処理能力は今後ますます重要になってくるでしょう。


▼ 注

▼ 参考文献