本書は、次元について、イラストをつかってくわしく解説しています。本書を見ることで次元に関する理解をふかめることができます。

ポイントをピックアップします。

次元とは、1点の位置を決めるために必要な数値の個数であると定義できる。

0次元:大きさをもたない「点」の中では、位置を決めようがないので、「点」は0次元である。

1次元:「直線」は、基準となる点を決めておき、そこからの距離に相当する1個の数をあたえれば1点の位置がきまるので、1次元である。曲線でも同じことがいえるので曲線も1次元である。

2次元:「面」は2次元である。縦と横の目盛りを指定する数値(たとえばX=4,Y=3)をあたえれば1点の位置が決まる。

3次元:私たちの暮らす空間は、基準となる点から縦,横,高さの方向の三つの数値で位置を決めることができることから、3次元であるといえる。

次元の数は、点が動くことができる軸の数(自由度)とも一致する。1次元では一つ、2次元では縦,横の二つの軸がある。3次元では縦,横,高さの三つの軸がある。

1次元には「かたち」はないが、2次元では「かたち」が登場する3次元では、2次元にはない「立体」が登場する

ある次元の数をもつ空間は、それよりも低次元の空間を内部に含むことができる。

低い次元で不可能なことでも高い次元なら可能である
。 

私たちがものを見るとき、眼球の奥にある「網膜」は、外界からの光を受けとる「2次元」のスクリーンである。そのため、そのスクリーンには物体の像が並行的に映し出される。左右の眼球ははなれた位置にあるため、各スクリーンに映しだされる2次元像は同じにはならない。脳は、左右の網膜に写る像の「ずれ」をもとにして奥行き情報を補っている。私たちが見る3次元像とは、こうして脳内で再構成された「間接的な3次元像」にすぎないのである

アインシュタインにより提唱された「特殊相対性理論」により、3次元空間と1次元の時間はつねに一体となって変化することから、空間(3次元)と時間(1次元)をあわせたものが「4次元時空」とよばれるようになった。

アインシュタインは、「一般相対性理論」により、重力の正体が「4次元時空の曲がり」であることを示した。

物理学者たちは、現実の世界が4次元(以上の)空間であるかどうかについて、何らかの実験結果が今後数年のうちに得られるだろうと期待している。

「超ひも理論」では、宇宙は10次元時空であるとする。

私たちが住む3次元空間は、9次元空間に浮かぶ1枚のブレーン(膜)にすぎないと考えるのが「ブレーンワールド」仮説である。


このように本書は、0次元の世界から高次元宇宙まで、次元の不思議な世界を解説しています。

情報処理の観点からは「4次元時空」をフルにつかうことが重要です

たとえば、文章を前から後ろへ順番に(時間をつかって)音読・黙読するのは1次元的です。1次元だと直列的にしか情報を処理できず、大量情報を一気にインプットしようとすると脳はつまってしまいます。

そこで、視覚領域を活用して次元を2次元に高めると、情報の並列処理が可能になり、情報処理の効率は高まります。たとえば、近年のコンピュータは複数のプロセッサを並列させて情報処理をすすめていることからも、並列処理の有効性がわかります。

さらに、次元を3次元に高めれば情報処理の効率はもっと高まり、とりあつかえる情報量は圧倒的に増え、大量の情報が処理できるようになります。ここでは、わたしたちがすんでいる3次元空間をうまくつかうことがポイントになってきます。何かを記憶するときも、 イメージをえがくときも3次元空間の中でおこなった方がよいのです。

そして、3次元空間に1次元の時間をくわえて「4次元時空」にすればもっとよいわけです。 「4次元時空の中の1点は、場所と日時を指定すれば決めることができます。わたしたちは「4次元時空」のなかの1点に存在して暮らしてるのであり、わたしたちの人生は「4次元時空」における軌跡にほかなりません。したがって、「4次元時空」をフルにつかいきることは情報処理の観点からも生き方の観点からも自然な方法です。

たとえば、毎日、おなじルートを通勤しているだけで、ただ時間だけがながれていくといった生活は1次元的な生き方です。時間だけしかつかわないと1次元的な人生になってしまい、情報処理の効率も効果もいちじるしく低い状態にとどまり、とりあつかえる情報も非常にかぎられてしまいます。

そのような人はとにかく旅行にでかけることです。これだけですぐに1次元を打破でき、「4次元時空」の存在になれます

このように、次元を高めて「4次元時空」のひろがりとして人生を実践すれば、とりあつかえる情報量は格段に増え、ゆったりとした大きな世界のなかで余裕をもって情報処理ができ、ゆたかな情報とともに生きていくことが可能になります

なお、もし、5次元以上をとりあつかえるとすれば、情報処理の性能はさらにあがることになります。もしかしたら潜在意識は、もっと高い次元ではたらいているのかもしれないとかんがえるととても興味深いですが、現時点ではこれ以上の議論はできません。


文献:『次元とは何か 0次元の世界から高次元宇宙まで』(改訂版)(Newton別冊)、ニュートンプレス、2012年5月15日