自分にとって居心地のよい場所に身をおくとあらたな情報処理がすすみアイデアが生まれやすくなります。
このように居場所はとても大事です。居場所を変えてみる。居心地のよい場所に身をおいてみるという方法はとても簡単なことですが、あらたな情報処理をすすめアイデアを生みだすために大きな効果がある方法といえるでしょう。
"Asahi Shinbun Degital &" で「アイデアの生まれるところ」という記事を特集していました。
デザイナーの人たち10数人に、「あなたにとって、アイデアの生まれるところはどこですか?」とインタビューしています。アイデア・着想・ヒント・イメージなどはどこで生まれているのか。一箇所にじっとして仕事をしているのではなく、「アイデアの生まれるところ」をデザイナーたちはそれぞれにもっているようです。
街を歩くのはここ2~3年の習慣で、コレクションに関わることを整理するため。(中略)情報があふれかえっている環境から距離を置き、街を歩きながら思考を巡らす中でアイデアを具現化していくことが多いんです。(木村晶彦さん)博物館で見聞するものは、服作りのアイデアにつながります。たとえば、葉っぱの形や葉脈の模様はテキスタイルのディテールに。動植物の造形的な部分は、服のフォルムに活かされることもあります。もうひとつ、重要なインスピレーションは色彩。(中略)植物の色や貝の色などの自然の色やグラデーションは美しく、魅力的ですね。(廣川玉枝さん)僕は自然豊かな岐阜県・高山市で生まれ育ちましたから、幼少期の原風景に似た環境に安堵(あんど)感を抱くのかもしれませんね。自然の中に身を置くことで、都会の喧噪(けんそう)や日々の活動から距離をとって、無心の状態で自分を見つめ直すことができます。(研壁宣男さん)この場所に自分を置くことで体感できる開放感や感動は、ものづくりの動機や原動力にもなります。東京のギャラリーの中でもこれだけ巨大で、なおかつモダンで何もない空間というのは他にあまりないですよね。独特な抜け感と空気感があって、気持ちさえも解き放してくれる自由な感覚があるけれど、白い壁の存在感にはそれを抑制するような絶妙な緊張感がある。(八木奈央さん、勝井北斗さん)パリから東京に戻ってきてすぐの頃ふらっと初めて科学博物館に来たとき、ふつふつとインスピレーションがわいてきたんです。自分のなかに蓄積しておけば、半年後か1年後、あるいはもっと何年も経ってから、コレクションのイメージのひとつとして浮上してくるかもしれない。この博物館に限らず、気になった場所には繰り返し行くことが多いんです。(堀内太郎さん)インターネットの普及によって、“場所”というものが意味を持たなくなっているような気がしますが、人のアイディンティティーとしての場所は絶対に取り替えられない。自分の身体で場から感じる多くのことは、いつもアイデアのヒントになりますね。(堀畑裕之さん、関口真希子さん)
このようにアイデアが生まれる特定の場所がそれぞれにあるようです。人がいればどこでもよいということではありません。
人を、情報処理をする存在としてとらえなおしたとき、情報は環境から人へインプットされ、人から環境へアプトプットされます。つまり情報処理は人間が単独でできるものではなく、人間と環境とがセットになってはじめて可能になります。情報処理は、人間と環境との "共同作業" といってもよいです(下図)。
図 情報処理のモデル
したがって場所を変えれば環境が変わり、インプットされる情報(刺激)も変わります。情報処理も普段とはちがったものになり、アウトプットもあたらしいものになります。
そうだとするならば、どのような場所に自分の身をおくかが重要になってきます。つまりは自分自身にとって居心地のよい場所に行けばよいのです。自然の中でも街中でも旅先でも、自分にとって居心地のよい場所は誰にでもあるとおもいます。もしなければこれからさがせばよいではないですか。
そのような居心地のよい場所にはもう一度 行ってみる。滞在してみる。そしてくりかえして何回も行くようにします。自分の生き方や自分の道をもっている人は自分の居場所をかならずもっているものです。居場所のある人は生きていきます。居場所がなくなると生きていくのが困難になります。
このように居場所はとても大事です。居場所を変えてみる。居心地のよい場所に身をおいてみるという方法はとても簡単なことですが、あらたな情報処理をすすめアイデアを生みだすために大きな効果がある方法といえるでしょう。