ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』から序夜《ラインの黄金》(演奏会形式)をききました(注)。東京春祭(東京・春・音楽祭)において、音楽史上 空前絶後の超大作『ニーベルングの指輪』を、毎年1曲ずつ4年をかけて全曲 演奏するという大きな企画の初年度でした。

声楽と管弦楽の演奏のみの、舞台装置や演技なしの演奏会形式オペラ公演であったため、ストーリーをおいながらイメージを自由にえがくことができました。

《ラインの黄金》のあらすじはつぎのとおりです。

第1場ライン川の底。地底からやってきた みにくい小人アルベリヒは、ライン川の黄金をまもる3人の乙女たちから、ライン川の黄金をうばいとってにげさります。

第2場:黄金をうばいとったアルベリヒは、その黄金を指輪にして地底の支配者となり、さらに、神々のすまう天界までをうかがう勢いをみせます。天界にすまう神々の長ヴォータンは法によって世界を統治していましたが、みずからの支配がおびやかされることをおそれ、その黄金の指輪をうばいとるために地底の世界へとおりていきます。

第3場ニーベルング族のすまう地底アルベリヒは、指輪の魔力により、神々をたおし、世界を支配してやろうという野望をいだいています。

火の神ローゲ神々の長ヴォータンは、そのアルベリヒをたくみにだましてつかまえ、地底からひきずりだします。

第4場神々の長ヴォータンは天界への道をひきかえします。ヴォータンは、アルベリヒから指輪をねじりとります。

世界が暗闇に突然つつまれ、未来を知る大地の女神エルダが登場、「指輪を手放し、災いを未然にふせげ」とヴォータンにつげます。そこでヴォータンは、神々の城ヴァルハラを建設した巨人の兄弟に指輪をあたえます。

すると、巨人族の兄弟、ファーフナーファーゾルは指輪をめぐってあらそい、ファーフナーがファーゾルをなぐりころします。

神々は、虹の橋をわたってヴァルハラ城に入っていきます。

今回の演奏会形式とは、通常のオペラ公演とはことなり、舞台装置などの演劇上の演出をせず、舞台上にオーケストラがのり、その前でソリストが歌を歌うような形式の公演です。

通常のオペラの場合は、演出家がえがいたイメージがすでにあり、それをあたえられるわけですが、 演奏会形式では舞台装置と演技がない分、自由にイメージをえがくことができます。
 
演奏会形式は本当のオペラではないといわれればその通りですが、自分で自由にイメージをえがくという別の楽しみ方ができるわけです。このような、音楽をききながら連続的にイメージをえがくことは、とても効果的なイメージ訓練にもなります


注:
東京文化会館、2014年4月7日、(東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.5)
指揮:マレク・ヤノフスキ
ヴォータン:エギルス・シリンス
ドンナー:ボアズ・ダニエル
フロー:マリウス・ヴラド・ブドイウ
ローゲ:アーノルド・ベズイエン
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ミーメ:ヴォルフガング・アブリンガー=シュペルハッケ
ファーゾルト:フランク・ヴァン・ホーヴ
ファーフナー:シム・インスン
フリッカ:クラウディア・マーンケ
フライア:藤谷佳奈枝
エルダ:エリーザベト・クールマン
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:秋本悠希
フロースヒルデ:金子美香
管弦楽:NHK交響楽団
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン


参考資料:

・『ニーベルングの指輪』のとてもすぐれた入門書です。


・こちらはコミック版です。絵がある分わかりやすいです。


・おすすめCD(ハイライト)です。名演をきかせてくれます。くりかえしきいてたのしめます。

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