生物多様性の危機がつづいています。エコツアーに参加して生物多様性の危機について知るとともに、外来種のもちこみを根絶するなどして、生物多様性の減少をくいとめなければなりません。


ニュートン別冊『生物多様性』(ニュートンプレス)は、生物多様性の歴史と現状、その危機についてイラストを使ってわかりやすく解説しています。


目 次
1 生物多様性とは何か?
2 生態系の多様性
3 失われゆく生物の多様性
4 データでみる生物多様性 〜ミレニアム生態系評価〜
5 データでみる生物多様性 〜生物多様性条約目標達成状況〜


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現在、絶滅危惧種をもっとも多くふくむ生物グループは両生類であり、もっとも急速に絶滅がすすんでいるグループはサンゴです。保全活動を早急にすすめなければなりません。

日本では、沖縄本島北部に位置するヤンバルの森が非常にあぶない状況です。また小笠原諸島では、独自に進化した生物たちが姿を消しつつあります。ニホンカワウソ、ツシマヤマネコ、イリオモテヤマネコなども絶滅しようとしています。イヌワシにも危機がせまります。日本ですでに絶滅した種は、哺乳類4種、鳥類14種、汽水・淡水魚類4種、合計22種におよびます。

南米のアマゾンでは、開発・焼畑農業により森林が急速に減少しており大問題になっています。

世界中の島々では、外来種が在来種を減少させ、生物多様性がいちじるしく低下しています。




このような状況をかんがみ、個人でもできることとしてはたとえば次のようなことがあります。
  • エコツアーに参加して生物多様性の危機を知る。
  • 外来種を持ちこんだり捨てたりしない。
  • 省エネにとりくむ。




生物多様性とは、生物種の多様性、種内の遺伝的多様性、生態系の多様性のことをさします。生態系とは、そこに生息するあらゆる生物と生物、それらをとりまく環境が、密接な関係をきずいてなりたっているシステムのことです。すべての生物は生態系のなかでくらしています。

そして地球が人類に提供している資源、自然からの恵みをまとめて「生態系サービス」とよびます。木材や農作物、家畜、魚介類、水、洪水や気候の調整、観光資源など、さまざまな恩恵をわたしたち人間は生態系からうけています。

しかし現代の人間は、生態系が供給できる供給量の範囲をこえてより多くの生態系サービスを利用してしているのが現状です。

一方で、土地の開発など人間の活動によっても生態系は破壊されています

生態系の過剰な利用と、過剰な開発が自然環境を破壊してさまざまな生物の生存を危機においやり、生物多様性を減少させているのです。生物種の数の減少あるいは生物多様性の減少は環境破壊の指標です。




このような自然環境の破壊、生物多様性の減少は〈インプット→プロセシング→アウトプット〉のモデルでとらえなおすことができます(下図)。

160203 生態系
図 インプットとアウトプットが過剰になった

 
生態系サービスとは、自然環境から人間社会への物質やエネルギーなどのインプットです。一方の開発とは、人間社会から自然観環境への作用(土地の改変や不要な物質の排出など)でありアウトプットです。

インプットとアウトプットの両者が過剰になり、自然環境を圧迫して自然環境を破壊しているのです。人間社会と自然環境とのバランスはあきらかにくずれました。地球は有限の空間ですから、過剰にインプットし過剰にアウトプットすればバランスがくずれるのは当然です。もう限界にきています。



▼ 『生物多様性』(ニュートン別冊)ニュートンプレス、2010年9月15日
生物多様性―地球の未来を考えるための重要ワード (ニュートンムック Newton別冊)
 
▼ 追記
〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムは個人レベルでもおこっていますが、人類あるいは地球レベルでもおこっています。

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