情報処理の一環として記憶法を実践し、情報を想起しながら書き出す(アプトプットする)ようにするとよいです。


記憶法とは具体的には〈記銘→保持→想起〉のことです。

記銘とは、経験したことをおぼえこみ定着させることです。保持とは、記銘された情報が心のなかで残存し維持される過程です。想起とは、保持された情報(経験)をおもいだすこと、おもいうかべることです。

現代の情報化社会においては、これらを、人間がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の一環として実践するのがよいです。つまり、記憶法だけを単独でおこなおうのではなく、情報処理のプロセシングのひとつの技術として記憶法にとりくむのです(下図)。

160126 記憶法
図 記憶法はプロセシングのひとつの技術




たとえば日記を書くときはどうでしょうか。

日中、わたしたち人間は、見たり聞いたり味わったりというように感覚器官をつかって膨大な情報を意識の内面にインプットしています。

インプットされたそれらの情報のなかで重要なことについては記銘するようにします。記銘された情報は心の中で保持されます。

そして夜になって自室にもどったら、その日の体験(保持された情報)を想起しながら日記を書き出していきます。つまりアウトプットします。想起して書き出すというところがポイントです。具体的には、日中の出来事をイメージとしておもいうかべながら、それらを言語にして表現していきます。




このような記憶法を実践していると、記憶力をつよめるだけでなく情報処理能力が高まってきます。書く力、アウトプット能力が向上します。

そうだとすれば、アウトプットすることを念頭において記憶法を実践することにはとても大きな意義があるということになります。あるいは記憶法とアウトプットを念頭においてインプットをおこなうのです。よくできたインプットと記憶法はよくできたアウトプットをもたらします。

そしてそのためには、そもそも自分は本当は何に興味があるのか、どの分野にチャレンジしたいのかといった課題設定を明確にしておいたほうがよいです。
 

課題設定→〔インプット→プロセシング(記銘→保持→想起)→アウトプット〕


課題が明確に決まっていれば、インプットされた大量な情報のなかで何を記銘すればよいかも明確になります。何を記銘し保持すればよいかという自分なりの情報の評価ができます。課題設定は情報処理の全過程にひびいてきます。課題は重要です。




現代では、インターネットが発達したために、たいていのことは検索すればでてきますし、クラウドのデータにもすぐにアクセスできます。移動中でもモバイルがつかえます。時代は本当に変わりました。したがって何でもかんでもすべてを記憶しておく必要はなくなりました。

それでは記憶法はもはや必要なくなったのでしょうか?

そうではありません。記憶法は、情報化社会においてあらたな意義をもつようになりました。従来のような丸暗記をするのでななく、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムを意識して生活し、情報処理の体系のなかにくみこんで記憶法にとりくんでいくことが重要です。そして自分らしいアウトプットをつねに出していくのです。