〈インプット→プロセシング→アウトプット〉のモデルをつかうと地球環境問題と自然災害とを統一的に理解することができます。
松原彰子著『自然地理学(第4版)』(慶應義塾大学出版会)は、地球環境問題と自然災害に力点をおいた自然地理学の入門書です。多様な情報が整然と整理されていてとてもわかりやすく、自然地理学の入門書として最適です。自然地理学といっても文科系の学生用教科書として企画されたようなので、数式などはつかわずに図表や写真をつかって誰が見てもよくわかる内容になっています。
目 次1章 地球環境の変遷とその原因2章 古気候・古環境の復元3章 旧海水準および海岸線の復元4章 年代測定の方法5章 地球環境の諸問題(1)6章 地球環境の諸問題(2)7章 地震活動8章 プレート境界で発生する地震(プレート境界型地震)9章 活断層の活動によって発生する地震(活断層型地震)10章 地震災害の実態と将来予測11章 火山活動と火山災害12章 水害・土砂災害13章 人為的要因による災害14章 身近な地形と人間活動
本書は、地球環境問題と自然災害の両者を概観できるのが最大の特色です。
地球環境問題では、地球温暖化・ヒートアイランド現象・オゾン層破壊・エルニーニョ現象/ラニーニャ現象・地球砂漠化・水資源問題・エレルギー資源問題について解説しています。
自然災害では、地震・津波・液状化現象・火山災害・水害・土砂災害・地盤沈下現象・海岸侵食について解説しています。
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わたしはこれらの現象を整理するために下のモデルをえがいてみました。
図 自然災害はインプット、環境破壊はアウトプット
自然災害は、自然環境から人間社会にはたらく作用つまりインプットです。これはは不利益なインプットです。
環境破壊は、人間社会が自然環境にあたえる作用つまりアウトプットです。アウトプットが巨大化しすぎたために環境が破壊されています。
このモデルが本書にでているわけではありませんが、本書中の膨大な情報をこのモデルをつかって整理すれば、自然災害と地球環境問題とについて統一的・端的に理解することができます。
そして今日、自然災害を軽減するための技術と環境破壊をくいとめるための技術の開発がすすんでいます。これらの技術は、インプットとアウトプットを適切な状態に改善したりおさえたりするためのものであり、こうした技術は、人間社会と自然環境とのあいだに介在するものとして位置づけることができます。
そして今日、自然災害を軽減するための技術と環境破壊をくいとめるための技術の開発がすすんでいます。これらの技術は、インプットとアウトプットを適切な状態に改善したりおさえたりするためのものであり、こうした技術は、人間社会と自然環境とのあいだに介在するものとして位置づけることができます。
わたしたち人間は、このような技術を介して自然環境と今後かかわっていくことになります。こらからのあたしい時代の技術(テクノロジー)はこのように位置づけられるとかんがえられます。
▼ 参考文献
松原彰子著『自然地理学(第4版)』慶應義塾大学出版会、2014年5月8日自然地理学(第4版)