『自然のめぐみ  〜里山と森林〜』(代々木ライブラリー)をみると自然からのめぐみと環境保全の大切さについてまなべます。イラストや写真が豊富でわかりやす。子供むけの本ですが大人が読んでもおもしろいです。

 
目 次
里山編
 里山のおひっこし?-なやめる生き物たちの会議
 生き物たちの楽園を求めて ー ビオトープへの旅
 やってみよう 見つけた! 近くの小さな自然
 もっと知りたい! 里山と生き物

森林編
 フィトン・チットンとゆかいな森の仲間 ー 木は生きている
 フィトン・チットンと森の旅へ ー 森とともに生きよう
 やってみよう 身近な森を探検しよう
 もっと知りたい! 森林


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里山とは、人里のまわりの雑木林や畑・草地・田んぼ・水路・池など、人が利用し生活とむすびついた場所のことです。たとえば里山の雑木林は、人が木や落ち葉を利用するためにながいあいだ手をいれつづけてきた人工の林です。

一方、森林は、自然環境のもっとも基本的な部分です。わたしたち人間はつぎのようなたくさんの「おくりもの」を森林からもらっています。
  • 森は「緑のダム」
  • 森は水の「クリーニング屋さん」
  • 森は国土の「おもり役」
  • 気温を調節し、空気をきれいにする

里山とは、手つかずの本来の自然ではなく人の手がくわわった土地であり、自然環境(森林)と人里とのあいだの領域に位置します(下図)。


160101 集落-里山-森林
 図 里山のモデル


自然環境(森林)は里山を介してさまざまな「おくりもの」を人里にあたえます。一方の人里は、不要な物質を自然環境に排出したり、土木工事をして自然環境を改変したり、さまざまな作用を自然環境にあたえます。

このような自然環境(森林)から人里への作用・流れは「インプット」、人里から自然環境(森林)への作用・流れは「アプトプット」とよんでもよいでしょう。すると人里で住民は「プロセシング」をおこなっていることになります。

これは〔インプット→プロセシング→アウトプット〕システムです。インプットとアウトプットの相互作用によって里山が形成されてきたのであり、このような仕組みのなかで里山は緩衝帯としての役割も果たしてきました。人里と里山と森林をめぐってはこのようなモデル(模式図)をつかうとわかりやすいです。
 



そしてこのモデルは環境保全のために有用です。人間は、土木工事などのやりすぎで森林破壊・自然破壊をすすめてしまいました。これはアウトプットの巨大化にほかなりません。 

わたしたちは里山の仕組みを再認識し、のこっている里山を保全していかなければなりません。

また本書では「ビオトープ」の活動を推奨しています。「Bio=生き物」「Top=場所」であり、ビオトープとは、もともと地域にいた野生の生き物がくらせる空間といった意味です。このビオトープを再生させることが重要です。たとえばカエルやケモノが移動できるトンネルをつくったり、トンボのビオトープをベランダにつくったり、小さなことでも一人一人ができることを実行することで生き物がまもられていきます。


▼ 引用文献
SAPIX環境教育センター企画・監修『自然のめぐみ 〜里山と森林〜』(環境学習ブックス 2)代々木ライブラリー、2013年4月20日
自然のめぐみ―里山と森林 (環境学習ブックス)



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