潜在意識とその開発法について解説した本です。著者は以下のようにのべています。大変興味深いです。
潜在意識はいわば「自分の知らない自分」とも呼ぶべき存在である。人生のほとんんどはその潜在意識が動かしている私たちは知らない自分に操られている

潜在意識はフロイトが発見するよりもはるかに前に、古代からさまざまな分野で追求されてきた。ヨーガ、瞑想、それ以外の宗教的な行、武道などの身体鍛錬、気功など。

潜在意識の開発には3段階がある。第1は自覚、第2は制御、第3は発展である。

精神活動の全体を「会社」にたとえると、表面意識は「社長」に、潜在意識は「従業員」にたとえられる。( 会社モデル/35ページ)

精神活動のモデルとして「海」を用いると、陸地や島にあたるところは表面意識、海中の領域は潜在意識にたとえることができる。(海のモデル/39ページ)

精神活動を「森」にたとえると、潜在意識は森の内部に対応し、表面意識は森の周囲、文明化された領域に対応させることができる。(森のモデル/39ページ)

精神活動の全体が、生態系のなす仕組み(エコロジカルシステム)と類似の仕組みをもっている。環境保護の問題意識や方法論が能力開発の技術と直結する。

潜在意識の特性として、「心の場を広げる力」がある。これは、情報処理のキャパシティを広げて、大量の情報が処理できるようにすることである。それに対して、表面意識の特性は、発想を確認し、定着させ、具体的な形として実現させることである。

首や肩は潜在意識の掲示板であり、首こりや肩こりを自覚することは、潜在意識のひずみを自覚することである。首こりほぐしや肩こりほぐしは潜在意識のバランスを正す技術である。

速読法の秘訣は、中心視野からではなく周辺視野から情報を入れることである。周辺視野から入れた情報は潜在意識にダイレクトに入り処理される

旅行は潜在意識を活性化する。旅は潜在意識の大掃除である。潜在意識を変える一番確かな状況は、異空間に3日以上いることである。風景の背景に注目し、周辺視野の機能を高め、潜在意識にインパクトをあたえる。よい状態を維持するために、感動を振り返り、感受性を維持し、知的高揚を保つ。


著者は、速読法を入口とするSRS能力開発法(SRS=スーパー・リーディング・システム)をおしえています。わたしもこの訓練を長年つづけています。

SRS能力開発法のそれぞれの分野(速読法・記憶法・心象法・活夢法・健康法など)についての著書が多数出版されていて潜在意識についても解説されていますが、潜在意識に特化した著作は本書のみであり、本書を読むと潜在意識を基礎とした能力開発の全体像がつかみやすくなります。

栗田博士の速読法・記憶法・心象法・活夢法・健康法などの著作とあわせて本書を読むとわかりやすいでしょう。

潜在意識に興味のある方はもちろん、SRSの講習を受講したことがある方にとって必読の書だとおもいます。SRSの講習を受講された方には復習になるととともに、各分野の講習を総合的体系的にとらえなおすことができ、見通しが一気によくなるとおもいます。


文献:栗田昌裕著『潜在意識開発法』KKロングセラーズ、1999年3月5日