問題にとりくむときには一晩 寝てかんがえるのがよいです。十分な睡眠をとることによってプロセシングがすすみます。
『日経 サイエンス』2016年 1月号には特集として、「なぜ眠るのか」(R. スティクゴールド)という論文が掲載されています。
わたしたちは睡眠をとることによって、睡眠中に記憶がすすむだけでなく、睡眠が記憶を向上させるというのです。
過去20年間、睡眠が、記憶処理に関与していることを示す発見が爆発的に増した。その1つが、学習後の睡眠が新しい記憶を選択的に定着させ、強化し、統合し、解析しているというものだ。そうすることで、睡眠は私たちが何をどう記憶するかを制御している。
睡眠は、わたしたちの脳が重要だとかんがえる記憶を選択し強化するだけでなく、統合や解析までしているというのですからおどろきです。
そして問題を一晩 寝てかんがえることを推奨しています。
『問題を一晩寝て考える』というのは、睡眠中の脳が、すでに保存されている情報を使って何らかの計算をして異なる可能性を列挙し、問題に対する最良の解決策を見つけようとしているのだ。
こうして夜間に十分な睡眠をとることでもたらされる恩恵がつぎつぎにあきらかにされています。このように睡眠は、記憶法の実践であるばかりでなく情報処理の実践でもあるのです。自分の未来に関わることに関しては処理が選択的にはたらくことも指摘されています。大変おもしろいです。
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肉体の健康にとって睡眠が必要なことは誰もがみとめることです。わたしたちは眠ることによってつかれをとっています。しかしあらたに近年わかってきたのは、睡眠は人間の情報処理の過程であり、睡眠が心へ大きく影響するということです。
人間がおこなう情報処理においては、睡眠は、プロセシングに位置づけられます。

図 睡眠はプロセシング
情報処理の実践はインプットからはじまります。インプットをまずして、眠ります。するとプロセシングがすすみます。そして翌日おきてアウトプットをします。
インプットとは、課題をきめて本や資料を読んだり、ガイドブックや写真集を見たり、現場にいって取材をしたりすることなどです。アウトプットとは、プロセシングの結果を日本語をつかって書き出すことなどです。
したがって、このような情報処理の体系(システム)のなかで睡眠をとることが重要であり、インプットとアウトプットとセットにして睡眠を実践しなければなりません。
▼ 引用文献
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