地球全史のなかでそれぞれの出来事をとらえると出来事の意義がわかってきます。

地球史は「冥王代→太古代→原生代→顕生代」という時代区分になっていて、それぞれの年代はつぎのようになっています。
 
顕生代:5億4200万年前〜現在
原生代:25億年前〜5億4200万年前
太古代:40億年前〜25億年前
冥王代:46億年前〜40億年前

顕生代は、情報量が非常に多いのでさらにこまかく区分されています。それは後でみていけばよいでしょう。


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■ 冥王代:46億年前〜40億年前
  • 46億年前に、無数の微惑星が衝突・集合して地球は形成されました。(写真2)
  • 天体の衝突によって地球の表面にはクレーターがたくさんできました。(写真6)

■ 太古代:40億年前〜25億年前
  • 地球最古の化石は34.5億年前の地層から発見されました。その化石は最古の生命の痕跡のひとつとされています。(写真14、15)
  • 27億年前のシアノバクテリアは、酸素のとぼしかった海に大量の酸素を供給しました。(写真19)

■ 原生代:25億年前〜5億4200万年前
  • アフリカ大陸とその周辺では小大陸同士の衝突が3回あり、次第に大きな大陸が成長しました。(写真26)
  • 5.7億年前にエディアカラ動物群が出現しました。エディアカラ動物群は軟体部からのみなり、かたい殻や骨格がなく平べったいものが多かったです。(写真33、34)

■ 顕生代:5億4200万年前〜現在
  • 顕生代になると、生物種の多様化が急激にすすみました。「カンブリア爆発」とよばれます。カナダのバージェス頁岩はそのことをあきらかにした重要な地層です。(写真36、37、38)
  • 南アフリカには350万年前の人類化石遺跡があります。またタンザニア・オルドバイ峡谷(200万年前)で、猿人アウストラロピテクス・ボイセイと原人ホモ・ハビリスの化石が発見されています。現代は人類の時代です。(写真79、80)



46億年前に、宇宙の物質があつまって地球が形成されて冥王代がはじまりました。太古代になると生物が誕生しました。原生代には大陸の成長と移動がおこりました。顕生代になると生物は一気に多様化し、最終的には人類が出現してきまた。

このような地球全史において、最初の生物がどのようにして誕生したのかはまだわかっていません。また注目すべきは、顕生代はじめの「カンブリア爆発」、そして人類の出現です。人類の人口は現在 約70億人、ひとつの種がこれほどまでに繁栄?した時代は今までにはありませんでした。地球は今、人類の時代になっています。


地球に記録されたさまざまな痕跡から地球の全歴史をまなぶことは、一方で、地球全史をふまえてそれぞれの出来事の意義をとらえなおすことにもなります。それぞれの出来事の意義はそれ自体で単独に決まるのではなく、全体状況や背景のなかこそ決まってくるものです。

たとえばローマの古代遺跡をただ見ているだけだと何もわからなかったことが、世界史を勉強し、世界史のなかで(世界史を背景にして)遺跡をとらえなおしてみると、世界史におけるローマの位置づけができ、その価値や意義がわかってきます。これと同じことです。

今後たとえば、世界自然遺産を見たり旅したりするときに、地球全史をふまえてそれぞれの自然をとらえれば、それらの価値や意義がわかって見方が非常にふかまってくることでしょう。


151221 地球全史
図 地球全史のなかでそれぞれの自然をとらえると、価値や意義がわかってくる

 

▼ 引用文献
白尾元理(写真)・清川昌一(解説) 『地球全史 写真が語る46億年の奇跡』岩波書店、2012年1月27日
地球全史――写真が語る46億年の奇跡 

▼ 参考記事
時間スケールを変えて歴史を見る 〜『地球全史スーパー年表』〜
鳥瞰映像と実体験をくみあわせて理解をふかめる 〜後藤和久著『Google Earth でみる地球の歴史』〜
哺乳類の進化と絶滅をまなぶ -太古の哺乳類展-
イメージでとらえ、言葉をつかって確認する - 松井孝典(文)・柏木佐和子(絵)『親子で読もう 地球の歴史』-
進化における生命の大躍進をみる - 特別展「生命大躍進」(1)-
地球史を旅する -『地球全史 写真が語る46億年の奇跡』岩波書店(1)-

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