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東京国立博物館 平成館 考古展示室入口(交差法で立体視ができます)


縄文土器を見ると、縄文人の当時の暮らしぶりを想像することができます。

東京国立博物館・平成館の考古展示室がリニューアルされました。展示も一新され、また展示ケースのガラスの反射・写り込みがほとんどなくなり展示品がとても見やすくなりました。下の写真は展示品の一部です。交差法(注1)で立体視ができます。
 


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片口付深鉢形土器(埼玉県ふじみ野市 上福岡貝塚遺跡出土、重要文化財)
縄文時代(前期)・前4000〜前3000年



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鉢形土器(神奈川県横浜市港北区下田町出土)
縄文時代(前期)・前4000〜前3000年



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壺形土器(秋田県鹿角市 大湯環状列石出土)
縄文時代(後期)・前2000〜前1000年



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異形片口土器(青森県七戸町長久保出土)
縄文時代(後期)・前2000〜前1000年



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鉢形土器(茨城県稲敷市 福田貝塚出土)
縄文時代(晩期)・前1000〜前400年



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注口土器(茨城県利根町 立木貝塚出土)
縄文時代(晩期)・前1000〜前400年



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香炉形土器(千葉県銚子市余山町 余山貝塚出土)
縄文時代(晩期)・前1000〜前400年



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異形台付土器(千葉県印西市天神台出土)
縄文時代(晩期)・前1000〜前400年



今回は、ギャラリートーク「縄文土器の見方 大きさ・形・文様」に参加しました。講師は特別展室主任研究員の品川欣也さんでした。

次のような話をしてくれました。

大学で以前おしえていたときに、自宅にある鍋や釜・食器などを学生にすべてスケッチしてもらい、それらを見せあうという実習をしていました。するとその学生がどのような生活をしているのか想像できます。一人暮らしなのか、実家で暮らしているのか、自炊しているのか・・・。


これとおなじで、わたしたちも土器を見て縄文人の生活をまずは想像するところからはじめた方がおもしろいです。最初から知識をえようとしたり理屈でとらえるのではなくみずからまずは想像してみるのです。

たとえば深鉢には水を入れていた。浅鉢で煮炊きをしていた。浅鉢に料理をもっていた。土器についたススの跡から調理をかなりやっていた。台付き鉢はお供え用? お酒も飲んでいた?・・・

「自分の方にひきよせて想像してみる」というアドバイスもありました。それぞれの土器を見ながら、自分だったら何につかうかを自由に想像してみるのです。これは、博物館のたのしい利用法のひとつでもあります。

たとえばこの土器では石焼ビビンバがつくれる。うどんをゆでる。ステーキを焼いてみる。野菜をもりつけたらおいしそうだ・・・




ウエブサイトなどでしらべると縄文人の暮らしぶりのイメージなどがすぐに検索できますが、そのような既存のイメージを見る前に自分自身でいろいろ想像してみることはおもしろいですし、その方が想像力をつよめる訓練になります。

想像することは情報処理でいうとプロセシングをすすめることであり、プロセシンのなかでもこれはかなり重要な過程です(下図)。みずからまず想像してみて、それから専門家がえがいたイメージを参照してみるという順序をとるとよいでしょう。

151217 想像する
図 想像することはプロセシングの重要な過程
 

▼ 東京国立博物館
平成館




いのちがもえる - 特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(1)-
時代のピークと土器のモデル - 特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(2)-
国宝土偶と精神文化 - 特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(3)-
作品とともに展示空間もみる - 特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(4)-
土器をみくらべる - 特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(5)-
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(まとめ)

東京国立博物館 − 歴史をフィールドワークする − (記事リンク集)


▼ 注1:交差法(クロス法)をつかった立体視のやり方は下記サイトをご覧ください。


▼ 追記
わたしがそもそも縄文時代に注目したひとつの理由は、縄文人は、自然環境と調和した生活をしていたため環境保全のためのヒントがそこからえられるにちがいないとかんがえたからです。