自分の能力をのばすことも大切ですが、自分の居場所をさがすこと、自分の能力をアウトプットできる場をみつけることも重要です。
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プロ野球の星野仙一監督がAチーム(仮称)の監督をしていたときに、佐藤選手(仮名)をBチームにトレードに出しました。すると佐藤選手はBチームで大活躍をしました。
これをみたAチームのオーナ会社の幹部がつぎのようにのべたそうです。
「佐藤君のような優秀な選手を何で放出したんだ!」
星野監督はつぎのようにこたえました。
「佐藤選手は、Aチームでは、おなじポジションに複数の優秀な選手がいたため能力をいかしきれなかったのですが、Bチームに移籍して自分の能力をいかす場をえたのです。それぞれの選手がそれぞれに能力を発揮できる場をえればよいではないですか」
佐藤選手は、Bチームに移籍してポジションをえたということでしょう。
野球選手の能力は、その人が本来もっている能力だけでなく、チームのなかのポジションによっても決まります。自分のポジションや役割が組織のなかにあるかどうか?
その人の能力や価値は、その人をとりまく全体状況のなかで決まってくるのであって、全体状況が変われば存在価値も変わってきます。その人の価値や意義はその人だけで絶対的に決まるものではなく、一つの場のなかで決まるといってよいでしょう。
したがってたとえばその人自身は何も変わらなくても、居場所が変わったり周囲が変わったりしただけで、その人が大活躍するようになることはありえるわけです。
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以上の教訓から、自分自身の能力を開発する訓練も大切ですが、一方で、自分の居場所を積極的にさがす、自分の能力をアウトプットできる場をみつけだす努力をすることも重要であることがわかります(下図)。
図 自分の能力をいかせる場をみつける