グローバリゼーションを理解するにはその歴史的な流れを大局的にとらえるとよいです。

今日、グローバリゼーション(グローバル化)は急速に進展しています。グローバリゼーションは日常生活のいたるところで存在するようになりました。わたしたちはその発展速度の速さに注意しなければなりません。

グローバリゼーションをめぐる諸断片はおたがいにむすびつきあっています。従来は、それぞれの専門家がそれぞれ立場で専門分野を論じていればよかったのですが、現代では、グローバリゼーションという文脈のなかで専門分野をとらえなおさなければならなくなりました。

それぞれの分野の価値や意義は、それをとりまく全体的状況のなかでこそ決まってくるのであって、全体状況が変われば価値や意義もことなってくることをグローバリゼーションはおしえています。


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1950年代から1960年代においては、経済は、国家を基盤とした企業によって発達しまたが、現在は、多国籍で国際的な企業が成長し経済活動はグローバル化しています。グローバル経済は国民国家そして地域貿易ブロックもこえてうごいています。

たとえばマクドナルド化という現象があります。効率性・計算可能性・予測可能性・管理の合理化が現代社会のあらゆる次元で生じているということで、このファーストフードレストランの原理が様々な分野で主流となりつつあります。マクドナルドは、経済のグローバリゼーションとトランスナショナルな企業の典型的なシンボルとなりました。

またインターネットの出現によって、世界中の人々が以前には想像できなかった方法でむすびつけられるようになりました。インターネットは地球全体を網羅する情報の網であり、情報化社会の発展の特徴といえるでしょう。
 
そしてもっとも大きな問題は戦争のグローバル化です。

そもそも第一次世界大戦は、それまでに生じたもののなかで人類史上もっともグローバルにひろがった戦争でした。

その後の戦争の経緯は本書を参照していただくとして、現代において決定的だったのは「2001年9月11日の同時多発テロ」であり、これは、グローバルテロリズムというあたしい時代の到来をつげる結果になりました。本書が「9/11」の解説からはじまっているのをみても、グローバリゼーションのシンボリック的な事象にこれがなったことは残念ながらあきらかです。

戦争は、国家間の紛争からテロリスト集団との紛争へ転換し、「戦争の再編成」というあたらしい事態になってきました。

そしてまた、現代は移民難民の時代でもあります。移民と難民は戦争の結果の人の移動であって、グローバリゼーションのなかでももっともよくみかける現象です。

しかし一方で、国家・政府の枠組みをこえて地球上の問題解決にとりくんでいこうと立ちあがる市民がでてきました。国境をこえた、ボランティア・NGO・ロビー・学術団体・人権団体・・・、非政府の市民活動が活発になり、グローバル市民社会が形成されつつあります。


今日、グロバーリゼーションの影響から誰もがのがれられなくなっています。グローバリゼーションがうみだす「地球社会」の未来は現在のところは決してあかるくないですが、問題を解決しようとする動きもでてきています。



▼ 引用文献
アンドリュー・ジョーンズ 著(佐々木てる監訳)『グローバリゼーション事典 地球社会を読み解く手引き』明石書店、2012年11月10日
グローバリゼーション事典

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グローバリゼーションをとらえる - アンドリュー・ジョーンズ著『グローバリゼーション事典』(1)-
グローバリゼーションの流れを知る -『グローバリゼーション事典』明石書店(2)-
グローバリゼーションをふまえて個々の仕事をおこなう - アンドリュー・ジョーンズ 著『グローバリゼーション事典』明石書店(3)-

▼ 追記
わたしは世界史を極度に単純化して以下の模式図(モデル)でとらえています。グローバリゼーションは下記のように位置づけられます。

151210 グローバリゼーション
図 世界史モデルにおけるグローバリゼーションの位置づけ