
東京都美術館
モネの作品を遠くからみて、近くでみて、離れてみると、色彩のうつくしさや視覚のマジックが堪能できます。
東京・上野の東京都美術館でマルモッタン・モネ美術館所蔵「モネ展」が開催されています(注)。
今回の「モネ展」は、パリのマルモッタン・モネ美術館のモネ・コレクションを中心にして約90点を紹介するものでした。印象派の巨匠モネが生涯にわたり手放さなかった作品と、モネが購入したり おくられたりして収集したほかの芸術家の作品、いわばモネのプライベート・コレクションを紹介しているのが特色でした。
いつものようにわたしはすべての作品を一通り見て、ふたたび入り口にもどり、今度は、とくに印象にのこった作品だけをじっくり見るようにしました。
《オランダのチューリップ畑》(1886年)、《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》(1877年)、《睡蓮》(1903)年・・・
それぞれの作品を遠くからまずながめ、近づいていってそばて見て、そしてふたたび離れて見ると色彩のうつくしさ、透明感、奥行きがくっきりと感じられて本当に不思議です。視覚のマジック、光の情報処理を心からたのしむことができます。
また全体を一通り見おわったうえで印象的な作品に「再会」すると、会場のコレクション全体がつくりだす空間が背景になって、印象的な作品がそのなかに鮮明にうかびあがるような独特の感覚体験がえられます。
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わたしは朝9時すぎに東京都美術館に到着、約100人の方々がすでに行列をつくっていました。9時30分に開門、比較的余裕をもって見ることができました。遠くからみて、近くでみて、離れてみるためにはある程度 会場がすいていなければなりません。
しかし会場をあとにしようとした約2時間後にはものすごい混雑になっていました。美術展は、午前中のはやい時間か金曜日の夜などがおすすめです。
▼ 注
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