類語辞典をつかうとアナロジーのセンスをみがくことができます。
『新版 日本語使いさばき辞典』(東京書籍)は豊富な語彙のなかから場面に応じて適切な言葉をえらびだすための一種の類語辞典です。「五十音目次」という五十音検索ができるおもしろい目次がついているのが特色です。
目 次愛・愛するあう 合・会・逢・遇・遭明るい・明らか秋朝夕貴方・貴方がた雨改める・改まるあらわす・あらわれる 表・現・顕歩く・歩き〔ほか〕
たとえば「思う・思い」という大項目をみると、そのなかにはいくつも「内容見出し」(中項目)があります。
「内容見出し」(中項目)の「心をひかれ、心を向ける意からみた『思う・思い』」をたとえばみると、そのなかには多数の「グループ」があります。
「グループ」のなかの「初めに思い立った気持ち・考え」の項をみると「初心・初志・初一念・初念」という単語群がでています。
つまり本辞典は、つぎのような階層構造によって体系化されています。
- 大項目
- 内容見出し
- グループ
- 単語群
目次にでている各グループのなかでは意味内容の簡潔な解説が文でまずしめされ、そのうしろにその意味内容に対応する単語群が配置されています。解説文が上位階層に位置し、最下層に単語がでいているのが本辞典の特色です。
たとえば相手につたえたい何らかのメッセージがうかんだ場合、本書を参照してふさわしい単語をさがしだしてアウトプットするといったつかい方が有効でしょう(注)。
たとえば相手につたえたい何らかのメッセージがうかんだ場合、本書を参照してふさわしい単語をさがしだしてアウトプットするといったつかい方が有効でしょう(注)。
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類語辞典にわたしがなぜ注目しているかというと、類語辞典をつかっているとアナロジー(類推)のセンスをみがくことができるからです。
そもそも人間は、既存の情報にあたらしい類似な情報をむすびつけてあたらしいことを理解し記憶していきます。またアナロジーによってあらたな発想がえられることもあります。アナロジーは、情報処理の重要な方法のひとつであるととらえるべきであり、アナロジーの合理化・技術化は情報処理と問題解決にとっての大きな課題だとおもっています。
本辞典をみていると、似ているか似ていないかは相対的なものであって絶対的なものではないことがよくわかります。類語は、周囲の状況によって微妙に意味や用法が変わってくるのであり、空間的な位置によって単語の意味は決まるともいえます。本辞典をみていると単語の周囲の状況が全体的にみえるのでそのようなことがわかってきます。
▼ 注
ここでいうアウトプットとは書いたり話したりすることです。
▼ 引用文献
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確認し表現するための道具として言語をつかう
▼ 追記
情報処理におけるアウトプットの場面において、アナロジーをつかって文章化をすすめる技術のひとつの事例(サンプル)として視覚的にわかりやすいのが「KJ法」とよばれる方法です。