東京国立博物館・平成館
東京・上野の東京国立博物館で特別展「始皇帝と大兵馬俑」が開催されています(注1)。中国で帝国の時代がはじまった当時の様子を展示品を通して想像することができます。
わたしは今から14年前に中国旅行をしたときに兵馬俑にもいきました。今回は、兵馬俑との再会となり当時の旅行をなつかしくおもいだすことができました。今回の特別展は豪快で迫力があり、中国で帝国の時代がはじまった当時の力強さを感じることができました。
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今から約2200年前に「最初の皇帝」を名乗り、中国大陸に統一王朝を最初にうちたてたのが秦の「始皇帝」です。その陵墓のほどちかくにうめられた「兵馬俑」は、20世紀の考古学における最大の発見のひとつとうたわれ、出土以来、あたしい知見とおどろきをもたらしつづけています。会場では、始皇帝と兵馬俑にまつわる貴重な文物を一堂に紹介し、始皇帝が空前の規模できずきあげた「永遠の世界」の実像にせまっています。
わたしは、世界史を極度に単純化してつぎのような模式図(モデル)でかんがえています(下図)。
中国では、紀元前770年から多くの国々がおたがいにあらそう戦乱の時代にはいりました。いわゆる春秋戦国時代です。上のモデルでは「戦国時代」と記してあります。
そして戦争を勝ちぬき、前221年に天下を統一した国が秦であり、そのときの君主が始皇帝でした。このときから中国は本格的な領土国家の時代、帝国の時代にはいりました。
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世界史を大局的にみると、人間は初期は自然のなかでくらしていました。それは「自然社会」の時代です。そのご農耕がはじまり都市が形成され、都市は成長してやがて都市国家となっていきました。「都市国家」の時代です。そして都市国家が大きくなってくると都市国家同士が戦争をはじめました。「戦国時代」です。そして最終的に勝利した国は広大な「領土国家」つまり「帝国」になったわけです。
今回の特別展では、<都市国家→戦国時代→領土国家(帝国)>という歴史のながれを想像することができます。言葉や理屈で理解するのではなく、展示品をみながら想像できるというのが展覧会のもっともたのしいところです(下図)。
図 展示品をみながら想像する
「始皇帝と兵馬俑」は中国史の大きな転換点をしめしていて、それはいわゆる前近代文明あるいは本格文明としての中国文明のはじまりも意味するのだとおもいます。
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軍団のレプリカ
(平行法で立体視ができます、注2)
約70体の精巧な複製で再現した兵馬俑坑が第2会場の最後にはあり、ここだけは写真撮影ができます。展覧会の思い出にこのような記念撮影コーナーがあるととてもよいです。ほかの展覧会でも撮影コーナーを是非用意してほしいものです。
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▼ 注1:特別展「始皇帝と大兵馬俑」
東京国立博物館のサイト
特設公式サイト
▼ 巡回予定
九州国立博物館 2016年3月15日(火)~6月12日(日)
大阪・国立国際美術館 2016年7月5日(火)~10月2日(日)
▼ 注2:平行法(パラレル法)をつかった立体視のやり方は下記サイトをご覧ください。
ステレオグラムをつかって立体視をする - 平行法(3)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(4)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(5)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(6)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(4)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(5)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(6)-