何かを理解しようとおもったら、イメージでまず先にとらえ、そのつぎに言葉で確認するという順序をふむとよいです。
松井孝典(文)・柏木佐和子(絵)『親子で読もう 地球の歴史』(岩波書店)は、親子の対話という形式を通して地球の歴史について理解していくための本です。
目 次1 地球大気と海底探査2 太陽系のはてから地球を見る3 第2の地球はあるか4 地球の進化と未来
わたしがもっともおもしろいとおもったのは第4章の「ぼくたちの未来」というところであり、地球の寿命はあと50億年くらいで、今は、地球の歴史の折り返し点にきているというところです。
地球は(中略)後50億年くらいだけど,太陽が明るくなるにつれて,生物圏という箱がなくなり,ついで海とか陸とかいう箱がなくなり,最後にはちきゅうもまたどろどろに溶けてガスになる.今はちょうど地球の歴史の折り返し点で,これまでの歴史を逆にたどるのが地球の未来ということなんだ.
つまり地球の一生はその半分がおわり、人類という特殊な生物はその中間点で出現してきたということです。
また「これまでの歴史を逆にたどるのが地球の未来ということ」であるとのべ、過去の過程と未来の過程とのあいだには対応関係があると説明しています。これは、未来を予想するうえでとても参考になる仮説です。
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著者の松井孝典さんは日本を代表する地球惑星科学者であり、本書の内容は十分に信頼できる立派なものです。松井さんご自身の学説ものべられていて非常に興味ぶかいです。
ただし一般の読者にとってはややレベルが高くむずかしく感じるかもしれません。言語を通して理解していく対話形式も本書を若干むずかしく感じさせる要因になっています。
そこでまず先に、本書に掲載されている多数の絵を最後までじっくりすべて見てしまい、そのあとで本文を読むようにするとよいです。よくできた絵が本書にはたくさん掲載されています。最初から言葉や理屈でとらえようとすると理解がおそくなります。
地球の歴史にかぎらず何かを理解しようとおもったら、イメージでまず先にとらえて、そのつぎに言葉で確認するという順序をふんだほうがよいです。
イメージでとらえる → 言葉で確認する
言葉は、確認のためのもっとも基本的な道具です。言葉で確認するとイメージもそれまで以上に鮮明になってきます。
▼ 引用文献
松井孝典(文)・柏木佐和子(絵)『親子で読もう 地球の歴史』岩波書店、2012年8月7日
親子で読もう 地球の歴史
親子で読もう 地球の歴史
▼ 地球の歴史をイメージでとらえるための参考文献
田近英一監修『地球・生命の大進化 46億年の物語』(新生出版社)