「野外科学」とは現場の科学のことであり、現場でいかに情報収集をして、どのようにそれらをまとめて発想していくかを論じています。
第I章では、「野外科学」の概念について解説しています。

「野外科学」の姿勢・方法は未解決の課題を追求する探検であり、未開拓の空白領域をうめていく行為です。それはあたかも、どんな魚が釣れるかしらずに出かけてゆく魚釣りのようなものです。既存の仮説を検証すればよいというのではなく、あらたに仮説を発想したり、アイデアをうみだすことをめざします。

第 II 章では、野外調査法と記録の仕方についてのべています。具体的にはつぎのようにします。

(1)観察とインターヴューによって現場で情報収集(取材)をし、その結果を、現場ノート(フィールドノート)に記録します。現場でとったノートや日記は非常に重要です。真の権威は現場のデータにあります。

(2)データのまとめのために「データカード」をつかいます。情報のひとかたまりごとに、1枚ずつのカードにしていきます。「データカード」の実例(77ページ)は参考になります。

(3)調査結果の組み立て、文章化とアイデアや仮説の発想のために、「データカード」を1枚ずつ見ながら、要点を「紙切れ」に書きだします。それらの「紙切れ」を平面的にひろげ、もっともすわりのよい位置に空間配置をします。この空間配置を見ながら文章化をすすめます。このとき、「データカード」をもういちど見直しながらその内容をおりこんでいきます。あらたにおもいついたアイデアや仮説も書きとめます。

第Ⅲ章と第Ⅳ章は、野外科学の実践事例としてネパール探検とチベット探検のことが具体的に記載されています。

本書はふるい本ですが、原理的には今でも大変有用であり、本書でのべられている方法を現代の情報技術をつかっておこなえばよいのです。

上記(1)では、紙のノートをつかってもよいですが、タブレットやパソコンが現代では有用でしょう。

上記(2)のためのはブログが有用です。情報のひとかたまり(1ユニット)ごとに記事を書き、その記事を要約した見出しを各記事の上部につけていきます。ブログ1件が1枚の「データカード」に相当します。

ここでは、複数の内容を1つの記事におしこまないことが重要です。内容が2つある場合は、記事も2つに分けます。1記事1項目主義です。このようにすると、記事の要点を適切にフレーズにして見出しをつけることができます。

上記(3)では、各ブログの見出しをポストイットやラベルに書きだし、これを空間配置し、それを見ながらワープロをつかって文章化します。そのとき、ブログの記事(本文)を参照しながら、その記事をおりこんでいきます。

ポストイットやラベルを空間配置をするときに、既存の分類項目にとらわれないようにすると、あたらしいアイデアや仮説がうまれやすいです。既存の分類項目にとらわれない空間配置からの方が発想がでてきます。

なお、空間配置や図解化のために役立つソフトとしては OmniGraffle があり、これをつかえばポストイットやラベルはいりません。

このような行為をくりかえすことにより、ひとつの課題(問題解決)に首尾一貫してとりくむことができるようになります。

文献:川喜田二郎著『野外科学の方法』(中公新書)中央公論社、1973年8月25日

ソフト:OmniGraffle
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