記憶力を超速で高める「栗田式記憶法」が解説されています。 わたしはこの記憶法に長年たのしくとりくんでいます。
著者ものべているように、何よりもまず、自分の一番すきな分野の体系をたのしく記憶するところからはじめるのがよいです。そして、その分野の体系を参考にして別の分野も順次記憶していくのです。たのしいことはおぼえやすく、きらいなことはわすれやすいという、きわめて単純な原理があるのですから。
記憶法の基礎となる方法は「空間法」です。「空間法」を基礎として、「建築法」「絵画法」「線形法」「結合法」「想起法」などにまずはとりくんでみるのがよいでしょう。
とても役にたつ方法ですので、以下に、重要なポイントをピックアップしてまとめてみます。
「空間法」(Space method/151ページ)は、心にリアルな三次元空間を描き出す練習をすることによって、記憶を鮮明に格納できる空間をつくりあげる方法です。たとえば、好きな場所へいってそこで知識を覚えていきます。人物を覚える場合は、その人と最初に出会った場所をその人とともに一緒に覚えます。「3点注視法」(108ページ)もあります。
時と場所に結びつけて覚えるのは記憶法の基礎であり、最初に明確な時空記憶を作ることが重要です。そのためには視覚(目で見ること)を重視します。「建築法」(Building method/97ページ)は、建物の場を活用して、そこに覚えるべき情報を結合して記憶する方法です。「絵画法」(Picture method/147ページ)は、絵(写真)の中に情報を埋め込む記憶のテクニックです。写真の中にドメインを見いだし、ドメインごとに記憶すべき情報を結合します。「線形法」(Linear method/140ページ)は、無作為に与えられた情報群を連携して、直列的・連続的に記憶する方法です。「結合法」(Unifying Method/177ページ)は、2つの情報を新しい仕方で結合する方法です。すでに持っている具体的な体験や知識に「関わらせる」作業を「結合」と呼びます。「想起法」(Recall method/165ページ)は、過去の知識を想起するテクニックです。何かを覚えたら、その場ですぐに思い出す癖をつけるのがよいです。
以上の中で、「建築法」は「空間法」の実践例のひとつともとらえられます。「絵画法」も「空間法」と密接な関係にあります。「線形法」は直列的に記憶するので、「空間法」とは相互補完の関係にあるでしょう。「結合法」と「想起法」は記憶のすべてにかかわってきます。
これらの方法をつかって、すきな分野の概略をまずは記憶してしまうのがよいでしょう。その分野の概略をつかんで、その分野が一望のもとに見えるようになれば、その構造の中に位置づけて細かい部分も記憶しやすくなり、全体と部分とが補強しあって記憶は統合され、知識が定着していくとおもいます。
文献:栗田昌裕著『絶対忘れない!記憶力 超速アップ術』日本文芸社、2010年5月30日
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