目を閉じて、キーワードを意識しながらそのイラストを想起する訓練をくりかえすとたくさんのことが記憶できます。

『生命科学がわかる100のキーワード』(Newton別冊、注1)は、イラスト(イメージ)をつかって生命科学のキーワードを解説しています。1ページあるいは見開き2ページごとにコンパクトに説明が完結しているので視覚的に非常にわかりやすいです。

生命科学をよりふかくまなびたい人あるいは将来この分野にすすみたい人は、本書にでているキーワードとともにそのイラスト(イメージ)をおぼえてしまうのがよいです。

まず、それぞれのキーワードを意識しながらイラストをじっくり見ます。これは情報のインプットです。
 
つぎに、目を閉じて、いま見たイラストをイメージします。どこまで正確におもいうかべることができるでしょうか。これは想起訓練であり、情報を記憶するための訓練でもあります(注2)。ただ見ているだけだと記憶にはあまりのこりませんが、想起訓練をくりかえすと記憶にのこりやすくなります。想起の効果は想像以上です。おなじ時間をかけるのでしたら想起訓練を徹底的におこなった方がよいです。この目を閉じて想起する過程はプロセシングです。

そしてさらにふかく勉強したい場合は、想起したイラストの概略を紙に描いてみるとよいです。このときにも何も見ないで、自分の心のなかでイメージをおもいうかべながら描きだすようにします。つまりアウトプットするということです。実際に描きだしてみると、自分が理解・記憶できている部分とそうでない部分とが一目瞭然になります。

以上の情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)を模式図(モデル)であらわすと下図のようになります。

151028 描く
図 情報処理の訓練


プロセシングのときには目をとじてイメージし、アウトプットのときには何も見ないで描くというところがポイントです。見ながらおこなうと、プロセシングとアウトプットの訓練になりません。

生命科学にかぎらずどの分野でも、勉強したり記憶しようとおもったらイメージをつかうことが決定的なポイントになります。イメージをつかうと、言語をつかうようりもはるかに容易にいろいろなことが記憶ができます。イメージでまず理解・記憶して、言語的な理解・記憶をそれにつけくわえていくという順序で勉強するとよいでしょう。『○○の100』という教材はそのためにとても有用です。
 

▼ 注1:参考文献

田沼靖一(監修・執筆)『生命科学がわかる100のキーワード』(Newton別冊)、ニュートンプレス、2013年7月15日
生命科学がわかる100のキーワード―生命,病気,iPS細胞など,テーマ別でわかりやすい (ニュートンムック Newton別冊)


▼ 注2
記憶するとは、インプットされた情報を心(意識)のなかで保持することです。情報処理の3場面のなかではプロセシングのなかに位置づけられます。

▼ 関連記事
現代の生命科学を概観する -『生命科学がわかる100のキーワード』(Newton別冊)-
キーワードとイメージとをセットにして記憶する
すすみたい分野の100のキーワードをおぼえて前進する