「釜石の奇跡」と「大川の悲劇」のコントラストは、わたしたち日本人ひとりひとりに主体性が必要なことをおしえています。主体性が必要な時代への転換がはじまりました。
NHKスペシャル取材班著『釜石の奇跡 どんな防災教育が子どもの“いのち”を救えるのか?』(イースト・プレス)は、「自分の命は自分で守る」ことをおしえていますが、一方で「第二第三の大川小学校」がでてくる可能性も指摘しています。
大局的にみると日本人はつねに集団で行動する、みんなが同じようにふるまうといった傾向をもっています。ここには、「みんなとおんなじ」で安心できる安定志向の社会があります。
「みずから率先してやるのではなく、(先生や親あるいは上司から)言われたことをきちんとやろう!」という指導があり、こうした上の者の期待にこたえようと頑張る子供たちは今でもたくさんいます。みずから判断して主体的に行動すると「誰に言われてやったんだ?」と詰問されてしまいます。
このような様式が悪い方向にむかうと「大川の悲劇」つまり死ぬときもみんな一緒となり大災害となります。
「山に逃げよう!」と先生にむかってさけんだが・・・。大川小学校の生徒の声がわたしたちの心に永遠にひびきます。
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しかし、東日本大震災が歴史的な大きな転換点になることはまちがいありません。「釜石の奇跡」と「大川の悲劇」はわたしたちひとりひとりに主体性が必要なことをおしえています。
防災教育は、生きかた教育に結局はなってゆきます。「大川」式から「釜石」式への転換は、日本人にとっては時間がかかるとおもいますが(あと20年ぐらい)、着実にすすんでいきます。日本人の行動様式が大きく変わる変革期にさしかかりました。主体性の時代への転換がはじまったといえるでしょう(注)。
▼ 参考文献
NHKスペシャル取材班著『釜石の奇跡 どんな防災教育が子どもの“いのち”を救えるのか?』イースト・プレス、2015年1月20日
釜石の奇跡 どんな防災教育が子どもの“いのち"を救えるのか?
▼ 注:主体性とは
主体性とは主体から環境へむかう作用のことであり、主体性のある人とはみずから情報処理ができる人のことです。
主体は、環境とセットにしてとらえるとわかりやすいです(下図)。ある生活の場にある人がいるとすると、その人はその場の主体であり、その人の周囲には環境がひろがっています。その人(主体)は、環境から入ってきた(インプットされた)情報にもとずいてみずから判断し、能動的に行動するとき、その人には主体性があるといいます。つまりその人は適切な情報処理ができる人であり、このときの主体から環境へむっていく作用は主体性とよべます。

これに対して、指示や命令にただしたがっているだけの人はインプットに支配されているだけで情報処理をおこなっていないので主体性がありません。
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釜石の奇跡 どんな防災教育が子どもの“いのち"を救えるのか?
▼ 注:主体性とは
主体性とは主体から環境へむかう作用のことであり、主体性のある人とはみずから情報処理ができる人のことです。
主体は、環境とセットにしてとらえるとわかりやすいです(下図)。ある生活の場にある人がいるとすると、その人はその場の主体であり、その人の周囲には環境がひろがっています。その人(主体)は、環境から入ってきた(インプットされた)情報にもとずいてみずから判断し、能動的に行動するとき、その人には主体性があるといいます。つまりその人は適切な情報処理ができる人であり、このときの主体から環境へむっていく作用は主体性とよべます。

図 主体性のある人とはみずから情報処理ができる人
これに対して、指示や命令にただしたがっているだけの人はインプットに支配されているだけで情報処理をおこなっていないので主体性がありません。
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