自然災害はかならずやってくるという立場にたって定期的に避難訓練をし、防災・減災にとりくんでいかなければなりません。

『3.11が教えてくれた防災の本(4) 避難生活』(かもがわ出版)は『3.11が教えてくれた防災の本』シリーズ全4巻の最終巻です。教材としてとても有用です。

わたしたちは、大災害に遭遇したら避難生活をしいられます。本書をじっくりよんで避難とはどのようなことかしっかり想像し、そして避難訓練をすすめる必要があります。

目 次
避難生活のはじまり
 避難所とは?
 避難所の管理運営はだれがするのか?
 避難所に入りきれないときは?

避難所での生活で直面する問題
 食事はどうなるか?
 避難所のトイレや風呂の利用はどうなるのか?
 気になる健康管理は?
 避難所で、少しでも気持ちよく、くらすには?

避難生活はいつまでつづく
 避難所生活はいつまでつづくのか?
 いつ、学校は再開されるのか?
 いつ、もとの生活にもどれるのか?


■ 食料や水はわけあう
本格的な支援がはじまるまでは、備蓄してある食料や水などをみんなでわけあっていかなければなりません。また避難所の管理運営は基本的は、自治体職員と地域住民とで「避難運営委員会」を組織してあたります。


■ かぜなどをひかないようにする
マスクがあればマスクをしてかぜをひかないようにします。万が一かぜをひいてしまったときには、いちはやく医療担当者に報告することで感染をひろげないようにしなければなりません。つかえる水があれば、手洗いとうがいをこまめにします。


■ 避難所から仮設住宅へ
住む家をうしなった人は仮設住宅ができたらそこに入居することになります。仮設住宅が利用できるのは原則として2年間です。


■ 災害につよいまちをつくる
避難生活がおわった後のために、災害の教訓をふまえて災害につよいまちを再建しなければなりません。


本書を読んで、被災者の人々のことをすこしでも理解するとともに、自分が被災者になったときはどうするか、準備しておくようにします。

自然災害には、地震・津波・火山噴火・洪水・土石流・地滑り・崖崩れ・竜巻などのさまざまな形態がありますが、いずれもわたしたち人間をとりまく自然環境の突発的な異変あるいは大変動であるわけです。大災害は地域に深刻な影響をおよぼし、被災者の生活と人生を変えてしまいます。それはふせぐことはできず受けいれざるをえません。

このような自然災害は環境から人への大きな作用とみなすことができます。この作用におそわれた場合は、正しい情報をまずは収集し、主体的に判断をしなければなりません。

そしてその判断にもとづいてすみやかに行動しなければなりません。大災害だった場合には避難生活がつづくことになります。そしてつぎに、教訓をいかして災害につよいまちづくりをすすめることになります。土地改良・堤防建設・高台への移転などの難事業がつづきます。このような居住環境の改善は人から環境への作用ということになります。

これらのことをモデル化すると下図のようになります。


151021 自然災害

図 環境から人への作用と人から環境への作用



環境から人への作用は「インプット」、その逆の人から環境への作用は「アウトプット」とよんでもよいでしょう。判断とはプロセシングをすすめるということです。

自然災害は突然むこうからやってきます。わたしたち日本人は、日本列島という変動的な環境のなかで今後とも生きていかなければならない以上、来るものは来るという立場にたって常日頃からそなえ訓練をしておかなければなりません。



▼ 引用文献
片田敏孝監修『3.11が教えてくれた防災の本(4) 避難生活』かもがわ出版、2012年3月31日
3.11が教えてくれた防災の本〈4〉避難生活

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