大地震にひきつづいておこる二次災害にそなえて非常用持ち出しセットをあらかじめ用意しておきます。

片田敏孝監修『3.11が教えてくれた防災の本(3) 二次災害』(かもがわ出版)は、災害発生後の二次災害にいかにそなえればよいか、東日本大震災の教訓をふまえて解説しています。子供用の本ですが大人も読む必要があります。二次防災のための教材としてとても有用です。

目 次
地震発生直後の二次災害にそなえよう
 避難のときに注意が必要な二次災害は?
 避難するとき、最低限必要なものは?
 屋外で過ごす場合に注意することは?
 身の回りのもので、避難のときに役立つものは?

二次災害を生きぬく知恵をもとう
 地域に原子力発電所や石油コンビナートがあったら?
 避難したあとにおきる、ガスと電気の二次災害とは?
 地震による火災で注意することは?
 帰宅困難者になったら…?

こんなことも二次災害?
 なぜ計画停電がおこなわれたのか?
 風評被害ってなんだろう?


■ 放射線をできるだけあびないようにする
ちかくに原子力発電所があって放射能もれがおこった場合には、放射線をあびないよう(被爆しないよう)にしなければなりません。それには外出しないことが一番です。

しかしいつまでもそうは言ってはいられません。外出が必要なときにはつぎのようにします。
  • マスクをして放射性物質をとりこまないようにする。
  • 外から家にはいるときには服をぬいでからはいる。
  • そしてシャワーをあびる。

ただしこれで体内被曝がふせげるわけではありません

福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質は周辺地域を汚染し、大変な二次災害をもたらしました。放射性物質は200kmから300kmもはなれた地域にもひろがり、農作物の出荷は停止され、学校の校庭もつかえなくなりました。
 
17の原子力発電所が日本には現在あります。原発事故がおこった場合は二次被害はふせげません


■ ひとりひとりが正しい情報を入手し風評被害をふせぐ
災害のあとに事実ではないことがうわさとしてながれ、人から人へとつたわるうちに、いつの間にか事実のようになってひろまってしまうことがあります。こうしておこる被害は風評被害とよばれます。

福島第一原子力発電所の事故による風評被害は、被災者のうけいれ拒否によって被災者の心を傷つけたり、農業や漁業や観光業などに大打撃をあたえました。

風評被害をふせぐためにはひとりひとりが正しい情報を常に入手し、情報の確からしさをチェックするようにします。


■ 水と非常食をあらかじめそなえておく
家族全員が3日間いきぬく量の水と非常食を用意しておきます。賞味期限がちかづいたものは食べ、その分あたらしいものを買って補充するというサイクルを実行します。


■ 非常用持ち出しセットをそなえておく
水、非常食、懐中電灯、携帯ラジオ、医薬品、軍手、マスクなどを入れたリュックサックをそなえておきます。

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■ エコノミークラス症候群をふせぐ
自動車のなかに避難する場合には、エコノミークラス症候群をふせぐために定期的に体をうごかして水分を補給します。


■ 地震後にはガス栓をしめ、電気のブレーカーをきる
電気が復旧したときに、ガスもれ爆発や火災の発生をふせぐために、地震後にはガス栓をしめ、電気のブレーカーをきっておきます。


二次災害のなかでもっともおそろしいのはいうまでもなく原発事故です。これについては本項で書ききれるわけもないですが、日本列島はどこでも大地震がおこる以上、二次災害としての原発事故もおこりえます。実は、活断層があるとかないとかといったレベルの話ではないのです。原発廃止にむかってすみやかにすすんでいくしかないでしょう。
 

▼ 引用文献
片田敏孝監修『3.11が教えてくれた防災の本(3) 二次災害』 かもがわ出版、2012年3月12日
3.11が教えてくれた防災の本〈3〉二次災害