「ブレーンストーミング」という、問題解決のための発想やアイデアをだす方法があります。これは、アメリカのオズボーン氏がはじめたもので、 通常は会議でつかわれますが、ひとりでもできます。ひとりでおこなう場合は「ひとりブレーンストーミング」といいます。
川喜田二郎著『続・発想法』(注)の 34〜35ページ にはブレーンストーミングについて解説されています。ここにまとめておきます。
ブレーンストーミングには以下の4原則があります。
1「批判を禁ずる」
2「量をもとめる」
3「自由奔放」
4「結合」
1「批判を禁ずる」は、そんなアイデアはダメだとおもって、他人の意見を批判したり否定してはいけないということです。
2「量をもとめる」は、ひとつひとつの意見の質の高さよりも、多種多様に数多いアイデアをだすということです。質よりも量を追求するということであり、そのためにはいろいろな角度からアイデアをだすのがよいです。
3「自由奔放」は、こういうことをいったら、他人にわらわれやしまいかなどという、いじけたひかえめな気持ちではなく、奇想天外にみえることでもだしてみることです。どのように後でまとめようかなどともかんがえない方がよいです。
4「結合」は、他人の意見をきいて、それに刺激され、あるいは連想をはたらかせ、あるいは他人の意見に自分のアイデアをくわえて、あたらしい意見としてのべます。
ひとりでおこなう場合でも4原則にしたがって、他人の意見を心の中で批判したりせず、また、過去の出来事ややりとりをおもいだしながらアイデアをだしていきます。
このブレーンストーミングはふるくからある方法ですが、現代の情報化の観点からこれをとらえなおしてみると、今日でも有用であり大いに活用すべき方法です。
そもそも情報処理は、「インプット→プロセシング→アウトプット」という3つの場面からなりたっていて、通常は、あたらしい何らかの情報を自分の心の中にインプットするところからはじめます。
ブレーンストーミングでは、過去に得られた情報、すでに心の中にインプットされている情報、過去のできごとをつかって情報処理をすすめようという仕組みであり、あらたなインプットがない分、手っとり早い方法であり、いつでもどこでもひとりでもできる方法です。
川喜田は、ブレーンストーミングを「内部探検」に発展させて論じています。つまり、自分や自分たちの心の中を探検するのです。自分の心の奥底にはどのような情報がありどのようになっているのか、自分のことは意外にもよくわかりません。この「内部探検」つまり「心の探検」はとても奥深い行為であり、これからの時代、誰もがとりくまなければならない課題です。
注:川喜田二郎著『続・発想法』(中公新書)、中央公論新社、1970年2月25日
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