博物館のガイドブックで予習をしてから博物館を見学し、帰宅してからガイドブックで復習すると体験的に認識が一気にふかまります。
産業技術総合研究所・地質標本館
産業技術総合研究所の地質標本館(注)は地球科学に特化しためずらしい博物館です。規模はそれほど大きくはありませんが、地球と固体地球科学の成果について展示を通して比較的短時間で理解をふかめることができます。自然科学的な調査・研究の成果をふまえているために情報が正確で学術的に信頼できるのがよいです。
デスモスチルスとは、新生代新第三紀(2303万年前から258万年前の時代)に太平洋沿岸地域に生息していた哺乳類です。
*
2階へ行くと第2展示室があり「生活と鉱物資源」を解説しています。太平洋の海底地形がおもしろいです。
写真2 日本付近の地形模型(平行法で立体視ができます)
青色の部分は海溝です。海溝はプレートとプレートの境界であり、ユーラシアプレートの下に太平洋プレートとフィリピン海プレートがしずみこんでいます。
第3展示室では「生活と地質現象」と題して地震や火山活動について解説しています。
*
1階へおりると第4展示室があり、ここでは岩石・鉱物・化石を分類して展示しています。
写真3 アンモナイト(平行法で立体視ができます)
地質標本館は、とてもすぐれたガイドブック(図説)の発行もしています。
地球を概観する -『地球 図説アースサイエンス』- >>
地質標本館にいく前にこのガイドブックで予習をし、そしてここに行って展示物を見学し、帰宅してからガイドブックで復習すると理解は一気にふかまります。第2の段階において、行動しながら体験がふかまるというところがポイントです。 単なる知識のつめこみになりません。
このようなことはあたりまえのことですが、実際には、よくできたガイドブックとすぐれた展示の両者がそろってこそ効果があがります。いいかげんなガイドブックを読んでいても意味がありませんし、また展示を見ても解説が簡略すぎたり、そもそも解説がほとんどなかったりして、せっかく見に行ったけどもよくわからなかったということはよくあります。
おなじ時間と労力をかけるのなら、よくできたガイドブックとすぐれた展示をさがしだしてそれらを利用した方がよいのです。このようなガイドブックと実見とをくみあわせる、あるいは読書と行動とをくみあわせる方法は問題解決の基本ですし、旅行法にも通じます。
地質標本館のガイドブックは非常によくできていて、これほど真面目で立派なガイドブックをだしている博物館はほかにはほとんどありません。編集者の意気込みが感じられます。すぐれたガイドブックを発行すると博物館は利用価値がたかまります。ほかの博物館も見習うべきでしょう。
▼ 平行法(パラレル法)をつかった立体視のやり方は下記サイトをご覧ください。
ステレオグラムをつかって立体視をする - 平行法(3)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(4)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(5)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(6)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(4)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(5)-
ステレオ写真をつかって立体視をする - 平行法(6)-
▼ 注
▼ 引用文献
地質標本館編『地球 図説アースサイエンス』誠文堂新光社、2006年8月24日
地球 図説アースサイエンス▼ 関連記事
地球を概観する -『地球 図説アースサイエンス』-
Google Earth で地域の全体像をみる
グローバルにみて局所にはいる -『ビジュアル世界大地図』-
宇宙から地球をとらえなおす - 宇宙ミュージアム TeNQ -
地球の中から地球を見る - 国立科学博物館「シアター36○」-
地球ディスプレイ "Geo-Cosmos" で地球の全体像をつかむ - 日本科学未来館 -
地球儀を発想の出発点としてつかう