本書は、気鋭のシェイクスピア研究者が、シェイクスピア全作品についてあらすじと解説をまとめたものです。手っとりばやく筋をたしかめたり、登場人物や人間関係をしらべたりできるコンパクトで便利な本です。シェイクスピア入門としても有用です。

本書を一気によみおえてしまい、シェイクスピアの全体像をまずつかんでしまうのがよいでしょう。 全作品の要約が一気に読めるところにポイントがあります。

そもそも情報処理は、インプット→プロセシング→アウトプットという手順になっていて、最終場面はアウトプットです。そのアウトプットにはかならず要約という作業がはいります。情報処理の結果をすべて記述することはまったく不可能ですから、著者の主観によって重要なポイントを要約し、整理・統合してアウトプットすることになります。

本書は、このような情報の統合的アウトプットのすぐれた事例として活用することができます。


文献:河合祥一郎著『あらすじで読むシェイクスピア全作品』祥伝社、2013年


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