地域防災のために、自分たちがくらしている地域をしらべ、地域についてしることは重要なことです。牛山素行著『防災に役立つ 地域の調べ方講座』は、地域防災のスタートラインは「地域の自然・社会特性を知ることだ」という観点から地域調査の方法を解説しています。

災害・防災という立場から地域を知るためにはどうすればよいか。対象地域の概要を簡潔に把握するための調査法がわかります。

目次
1 基礎知識
2 対象地域の地理・歴史・人口を調べる
3 対象地域の自然条件を調べる
4 対象地域の自然災害を調べる
5 現地で調べる

地域調査は、「資料調査」まずおこない、つぎに「現地踏査」をおこないます。

資料調査をしたらつぎの点についてまとめます。
  • 見やすい地域の略図をえがく。
  • 地域の歴史を簡潔に書く。
  • 地域の人口の特徴を説明する。

また地図から地形を読みとって地域の気象や河川の特徴を説明します。そして地域の簡略な災害史を作成し、どのような今後の災害が想定されているかをとらえます。

現地踏査では、地形図をつかって実際に現地をあるいて調査をおこないます。よく見て、写真を撮り、そこで暮らしている人々から聞き取りをします。そして記録します。「見る」「撮る」「聞く」「記録」ということです。

こうして資料調査と現地踏査を総合して考察をすすめます。

重要なポイントは災害と地形の関係をつかむことです。たとえば山地・台地・低地によっておこる災害がことなることに気がつかなければなりません。

山地:(豪雨や地震に起因する)斜面崩壊・地すべり・土石流
台地:比較的災害の危険性が低い
低地:河川洪水、内水氾濫、地震動の増幅、液状化、津波(沿岸のみ)

本書は専門書ではなく、地域を調べるための最低限必要なことが解説してあり、一般の人が読んでもわかる内容になっています。防災は専門家まするのではなく、自分たちがくらしている地域を地域住民みずからしらべ、地域について認識をふかめていくことはどうしても必要なことです。


▼ 引用文献
牛山素行著『防災に役立つ 地域の調べ方講座』古今書院、2012年11月12日
防災に役立つ地域の調べ方講座