震災などにかかわる復興事業などをおこなう場合には、第一に主題(テーマ)を明確にし、そしてプロジェクトチームをつくり、現地で活動をすすめるようにします。

ある地域で大震災がおきると救援活動がまずおこなわれ、そしてその後、さまざまなチームが復興支援活動を現地でおこなうことになります。
 
先日、「自分たちにも何かできることはないだろうか?」といって、ある国の関係者たちが10数人からなるチームをつくった例がありました。

彼/彼女らの「復興に貢献したい」「現地の役にたちたい」という気持ちはとても重要なことであり、大切にしなければなりません。

しかし、思いだけでは事業はできません。被災地の現実は非常にきびしく、大きな困難がまちうけています。

「ある地域の役にたちたい」とおもったら、チームをつくりあげるよりも前にその地域(その市あるいは村など)の現地調査(フィールドワーク)をして、その地域の真のニーズをまずつかまなければなりません。そして課題をうかびあがらせ、さまざまな課題のなかの中心的課題つまり主題(テーマ)を明確にする必要があります。

そのうえでその主題を公表して、それにみあった人材をあつめます。あるいは公募します。

自然災害の軽減を主題にするのであれば、気象・地質・地震・土木・林業・地理などの分野から専門家を選択してチームをつくります。医療分野であれば医師や看護師・医療技術者などが中心になります。チームには事務スタッフなども配置します。

何かをやりたいと漠然とおもっていろいろな分野の人々があつまっても事業にはならないことを知らなければなりません。漠然とあつまるくらいなら、むしろ個人でボランティア活動をおこなった方がよいです。

このように、チームをまずつくってから何かできないだろうかとかんがえるのではなく、主題をまず明確にして、そしてプロジェクトチームをつくるという方式をとるべきです(注)。前者と後者とでは順序が逆であることに注意してください。

 × 1. チームをつくる → 2. 何かできないかとかかんがえる
 ○ 1. 主題を明確にする → 2. プロジェクトチームをつくる

このような方法(後者)はプロジェクト方式とよんでもよいでしょう。



▼ 注:事前調査隊とプロジェクトチームとのちがいについて
地域のニーズが何であるかを調査するために事前調査隊を現地に派遣することはよくあります。そのような調査隊を事前調査チームあるいは単に調査チームとよぶこともありますが、そのような調査隊と、主題を決めたあとに結成するプロジェクトチームとでは性格がことなることに留意してください。構成メンバーも当然ことなります。

全体を整理するとたとえばつぎのような順序になります。
<事前調査隊を結成>→<現地調査を実施>→<現地のニーズをつかむ>→<課題さらに主題をあきらかにする>→<プロジェクトチームを結成>→<事業を実施>

なお個人でボランティア活動をする場合でも活動そのものをいきなりはじめるのではなく、まず、現地調査をしてニーズをつかみ、課題さらに主題をあきらかにしてから活動をはじめるようにします。