野口悠紀雄著『「超」旅行法』の第2章以下では海外旅行のノウハウが具体的に解説されています。
旅は計画からはじまります。旅の計画ほどたのしいものはありません。計画と準備の段階こそ海外旅行の最高の部分であといってもよいでしょう。そしてもう一つのたのしみはかえってからあとの旅の回想です。つまり旅は、計画と行動(旅そのもの)と回想の3回たのしめるわけです。
海外旅行は一期一会であってやりなおしができません。ですから正確な情報を事前に収集することがきわめて大切になってきます。
海外旅行を計画するにあたってまず重要なのは目的と目的地をはっきりさせることです。国内旅行とはちがって「気のむくままにぶらっとでかける」のはむずかしいです。あれもこれもと欲張るとどれも中途半端となり、あぶはちとらずにおわってしまいます。何をとり何をあきらめるか、目的と目的地をしぼりこまなければなりません。
なおスーツケースは、ステッカーをはるなどして自分のものであることが容易に識別できるようにしておきます。空港でまちがえたりまちがえられたりして、交換できたのはけっきょく翌日になり、まる1日をうしなったという事例もあります。
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さて、実際に現地にでかけて海外旅行を快適なものとするコツはあまり移動しないことです。なるべく一ヵ所にしばらく滞在できればとてもゆたかな気分になれますし、体験もふかまります。
また旅の印象はホテルできまります。海外旅行にある程度なれてきたら、都心で用事があってもそこからすこしはなれた場所に泊まるのがよいです。
ホテルに到着したら、すぐ判断する必要があるのは部屋の状況です。問題があれば部屋の変更をすぐにたのみます。直接フロントにいくのがよく、「なぜ変えてほしいか」を説明します。
現地で交通機関を利用する場合、「乗る」のが目的になることも多いです。列車とレンタカーは、旅行者の行動範囲を「点から線へ、さらに面へ」と拡大する手段です。これらをうまく利用できれば個人外国旅行は飛躍的に充実するでしょう。
タクシーを利用した場合、日本では車内で料金をはらいますが、外国では降りてからはらうことが多いです。大きな荷物がある場合には運転手がおりてきてはこんでくれます。通常は、料金の10〜15%のチップをわたします(注)。
外国旅行をしているという実感をえるためにはその町の住民とおなじことをしてみるのが一番です。町の空気をすうためには電車にのったりあるいは徒歩もよいです。タクシーばかりにのっていると町の様子はわかりません。
旅先でこまるのがトイレです。トイレはないか施錠されていることが多いです。治安がわるいからです。カフェやレストランあるいはガソリンスタンドのトイレをつかいます。日本では、ビルでもどこでもトイレが自由につかえるは一般に治安がよいからなのです。
▼ 引用文献
野口悠紀雄著『「超」旅行法』新潮社、1999年11月25日
「超」旅行法
「超」旅行法
▼ 注:チップのわたし方
たとえばメーターが22ドルで、チップを3ドルとしたい場合、つぎの2つの方法がある。
(1)30ドルをわたして8ドルをもらってから3ドルをわたす。
(2)“Please take twenty-five” といって30ドルをわたす。運転手は5ドルのおつりをくれる。
レストランでチップをわたす場合にもこの2つの方法のどちらかがつかえる。