取材法は、取材のために特別に時間をとらなくても、毎日の生活や仕事のなかで実践することができます。

たとえばつぎのような意見があります。
「取材が重要だとわかっていても、いそがしくてそんなことをしている暇はありませんよ」

今日、時代は情報化へと移行しました。情報処理をすすめるうえで取材活動は大切であり、取材の重要性に目覚めるべきです。

しかし同時につぎの着眼も大切です。すなわち多忙にはたらいている毎日の仕事や生活の場こそ取材の機会を提供する絶好の機会であるということです。つまり、取材のための時間を特別にとらなくても、毎日の生活や仕事そのものから取材ができるわけです。あるいは何らかの事業をすすめながらその事業それ自体から取材をすることができるのです。

このときに「点メモ」が役立ちます。点メモをつかった取材でしたらいつでもどこでも簡単にできます(注1)。

たとえば、スマートフォンのメモアプリと音声文字変換アプリなどをつかって、日付けとともに点メモを記録します。そして週末などの時間のあるときに、それらをみなおしながら文章化をするという方法が推奨できます(注2)。

何でもかんでも記録するというのではなく、基本的には、ハッとしたことだけを記録するようにすればよいでしょう。


▼ 注1
点メモをつけるときには「体験の玉」をイメージすることが大切です。

▼ 注2
点メモをつかった記録法はあくまでも取材の方法であり、その時その場で記録するのがポイントです。夜になってその日一日をふりかえって自分の心の内などを書きしるす日記とはちがう点に留意してください。

▼ 追記
点メモをつかって、毎日の生活や仕事の場で取材をする方法は「アクションリサーチ」とよばれる分野・方法に発展させることができます。

▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年11月20日
KJ法―渾沌をして語らしめる 

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