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国立新美術館


東京・六本木の国立新美術館で開催されている「マグリット展」をみました(会期:2015年6月29日まで、注1)。常識の枠組みをとりはらった異空間を堪能できました。

ルネ=マグリット(1898−1967)はベルギーの国民的画家であり、20世紀美術を代表する芸術家です。今回は、ベルギー王立美術館、マグリット財団の全面的な協力をえて、世界10か国以上から代表作約130点があつまりました。

マグリットはつぎのようにかたっています(注2)。

シュルレアリストであるとは、
「見たもの」を頭から消し去り、
「まだ見ぬもの」を探し求めることだ。

会場には、つぎのような常識ではありえない世界がひろがっていました。

前面とはちがう世界が背後にのぞく。
表現が現実に連続する。
見えないものが見える。
人体の一部が別の物に変身する。
物の一部が人体に変化する。
世界が石化する。
ありえない尺度。
ありえない時間の一致。
ありえない空間(異次元空間)。
重力から解放される。
空間の一部が生物になる。

なかでも《光の帝国》は印象的でした。「夜と昼の和解と融合」がえがかれていました。

夜と昼という相矛盾するものが和解・融合し、同一のフィールドに実現するのかどうか、このような矛盾的自己同一は人類の永遠のテーマです。

たとえばつぎのような事柄についてです。

切実性と自発性
制約と自由
保全と開発
共存と競争
環境と主体
常識と独創
維持と進歩
保守と創造

空間や時間や重力といったわたしたちの思考や行動を制約する常識の枠をとびこえるマグリットの世界は、わたしたちの意識に強烈なインパクトをあたえ、わたしたちにつよい印象をのこします。

日常をはなれてこのような異空間を体験してみるのもたまにはいいのではないでしょか。



▼ 注1
京都市美術館に巡回します(2015年7月11日~10月12日)。

▼ 注2:参考文献
南雄介監修・著、福満葉子著『もっと知りたいマグリット 生涯と作品』東京美術、2015年3月20日
※ マグリットの入門書です。

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※ マグリットの生涯を作品とともに時系列でたどることができます。

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