NHKホールでホルン協奏曲をきき、ホルンの響きをたのしみました。
指揮:アンドリス=ポーガ
ホルン:ラデク=バボラーク
管弦楽:NHK交響楽団
管弦楽:NHK交響楽団
曲目:
モーツァルト『交響曲 第1番 変ホ長調 K.16』
モーツァルト『ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K.412』(レヴィン補筆完成版)
R.シュトラウス『ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11』
ラフマニノフ『交響的舞曲 作品45』
(2015年6月13日、NHKホール)
ラデク=バボラークは世界的なホルンの名手であり、わたしもかねてから注目していたのでききにいきました。
ホルンは、数ある楽器のなかでも特に響きを重視する楽器です。響きとは楽器からでる直接音というよりも、コンサートホールの反響板や壁などに反射してホールの空間全体にひろがる音の波動です。これは、直接音(演奏)そのものの周囲にひろがり、ホールの空間を全体的にみたすものです(図)。
図 演奏の周囲に響きがひろがりホールをみたす。
演奏・響き・ホールを図のようなモデルでとらえるとホールも楽器であるといわれるゆえんがよくわかります。響きが充実してこそゆたかな音場が形成されます(注)。
響きの空間は、主体である演奏者にとっては環境ですから、ホールも「主体-環境系」としてとらえることができます。
このように直接きこえてくる音(演奏)だけに集中するのではなく、ホールの空間全体にも意識をくばり、その空間を感じとってそこに没入できれば、よりふかく音楽を味わえるとおもいます。
▼ 注
NHKホールはふるい多目的ホールであり、現代のほかのコンサートホールにくらべて音響がわるいことが知られていますが、今回の演奏はそんなことを感じさせないすばらしい演奏でした。ラデク=バボラークは、めったにあらわれない歴史的なホルン吹きだとおもいました。
▼ ラデク=バボラークのおすすめミュージックはこちらです。
※ R.シュトラウス『ホルン協奏曲第1番』がはいっています。ただしピアノ伴奏です。
※ バッハ『無伴奏チェロ組曲』をホルンで演奏した前代未聞の名演です。