目 次
1 防災技術の次の主役 40
2 分野別動向
3 防災技術の基礎知識
第1章では、地震対策など防災技術の概略が簡潔にのべられています。これからの防災技術は新建築物への適用だけではなく、むしろ既存の建築物への適用こそ必要です。たとえば今までどおりの通常の生活を工事中でも居住者がおくりながら防災工事ができる技術が開発されています。
第2章は分野別の各論です。免震、制震、耐震、天井対策、津波対策、衝撃力対応、節電、液状化対策、リスク管理のそれぞれについて解説しています。建築物は何でも補強すればよいというわけではなく、力を吸収したり にがしたりすることも重要です。コストもかんがえなければなりません。
第3章では、防災技術の基礎知識についてのべています。高層ビルでくらしていたり はたらいている方は長周期地震動について理解しておく必要があります。また大地震の際には建物の内装が凶器にならないようにしなければなりません。
そして何よりも重要なのは、家はこわれても命はまもるということであり、このかんがえにもとづいて「耐震シェルター」が実用化されました。耐震シェルターは、ベッドまわりだけをまもるタイプと寝室などの部屋全体をまもるタイプのものがあります。先のネパール大地震のときにも建物の倒壊によって多くの人々が死傷してしまいました。耐震シェルターの役割は大きいです。
「首都圏を震度7の地震がおそう可能性がある」と文部科学省のプロジェクトチームが2012年3月に発表しました。南関東のどこかでマグニチュード7程度の地震がいつ発生しても不思議ではないと警告しています。
もはや、建物のことは建築の専門家にまかせておけばよいという段階ではありません。本書を読んでそして専門家に相談するというのがよいとおもいます。
▼ 引用文献
日経アーキテクチュア編『新しい防災設計』日経BP社、2012年4月23日
NA選書 新しい防災設計
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