竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』は地形から日本史の謎を読みといた本であり、ここでもちいられているフィールドワークの方法は空間をつかって探究をすすめるところに大きな特色があります。
歴史というと一般には、文献をよく読んで言語をつかってかんがえていくものですが、それに対して地形とは3次元の造形であり構造です。つまり地形から読みとくとは、言語でとらえる前に視覚的・空間的に対象や出来事をとらえるということです。
それは、現場を実際にあるきながら着想をえたり仮説をたてたりすることが基本的なやり方になります。現場の空間のなかで行動しているとふとした瞬間にアイデアがわきあがってくることがあります。このような着想や仮説はおもいつくものであり発想するものです。あるいは直観するものです。これは、言語をつかって理屈でかんがえていくのとは大きくことなります。
歴史的な出来事をとらえようとするときに登場人物や主人公にとかく注目してしまいがちですが、出来事の背景あるいは本質は空間の方からむしろ読みとることができます。個々の現象を分析したり情報の断片を集積しているだけでは決して見えてこないことが、その空間全体をトータルに見ることによってわかってくることが多いのです。
本書で実例がしめされたように、地形に着目し、それぞれの地域をあるいは日本列島を大きな空間としてとらえなおしてみると今まで見えなかったことが見えてくるのだとおもいます。
情報処理の観点からいうとプロセシングの方法としてこれは有効です。表現(アウトプット)は言語をつかっておこなうとしても、その前のプロセシングは空間をつかっておこなった方がよいのです。そのためには野外にでて現場を実際にあるいてみることが一番です。そしてその空間全体に意識をくばるようにします。
▼ 引用文献
竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(Kindle版)、PHP研究所、2013年10月1日
日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)
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