ネパール大地震がおこってから半月がたちました。多くの救援隊や支援者が地震発生直後から被災地に入り現地活動をすすめています。時間の経過とともに活動内容は、被災者の捜索・救助から被災者や被災地の援助へ、そしてネパールの復興へと変化していきます。

外部から被災地に支援者が入って現地活動をおこなうときには、あくまでも被災地のニーズにもとづいて活動をすすめなければなりません。そのためには、まず、被災地をよく観察し被災者の声をよく聞くこと、ニーズ調査が必要です。そのようにしないで現場の声を軽視し、自分の思い・経験・知識を相手におしつけて行動すると被災地の役にたつことはできません。

このことは、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からも理解できます。支援者が、被災地を観察し被災者の声をよく聞くということはあらたな情報をインプットすることです。そしてそれらの情報を処理して話をしたり、行動につなげていきます。話したり行動したりすることはアウトプットにあたります(図1)。このような情報処理の過程で自分の経験や知識もいかしていけばよいのです。

150509 被災地
図1 被災地のなかで支援者は情報処理をおこなう


これに対して、自分の思い・経験や知識などを優先して被災地の観察や被災者の声を軽視するということは、情報のインプットを止めてしまうということです。この場合は、思いや経験や知識といった支援者がすでにもっている過去の情報をひっぱりだしてきてアウトプットをすることになります(図2)。

150509b 被災地
図2 あらたなインプットをせず、すでにもっている情報からアウトプットするタイプ


これは「そんなことはわかっている」というタイプです。自分の思いがつよい人(自意識が過剰な人)や経験や知識が豊富な人ほどあらたなインプットができない傾向がありますので注意が必要です。

しかし、いいかえると経験が豊富で知識をたくさんもっている人であっても、自己にはとらわれずに、あらたなインプットと情報の処理がスムーズにできる人は現場のニーズに適切にこたえる行動ができるのです。

このようにして現地活動ではあくまでも現場のニーズにこたえていくことが必要です。


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