中村元著『ブッダ入門』は釈迦の生涯についてわかりやすく紹介しています。一方、中村元著『古代インド』はインドの古代史について概説しています。どちらもいわゆる宗教書ではなく学者の研究結果を記述した学術書であり、このような学術書がすぐれているのは事実と仮説とをわけて書いている点にあります。情報処理と問題解決の観点からは事実を知ることが何よりも重要です。

今回、これらの伝記と歴史書とをあわせて読んでみて理解が一層ふかまりました。歴史書だけを読んでいるとつかみどころがなくて何だかボヤーッとした感じがすることがありますが、あわせて伝記も読むことにより焦点がさだまり、より鮮明に時代が見えてきます。ピントがあうといった感じです。またその人が生きた時代の前後の時代もとらえられるので視野が大きくひろがります。

150425a 伝記と時代

ある人の生涯は、その人が生きた時代の歴史的背景あるいはその時代の潮流と無縁では決してなく、むしろ、背景と共鳴したり時代の潮流のなかで生かされていたとかんがえた方がよさそうです。伝記と歴史書とをあわせて読んで全体像をつかみ、その人とその時代の本質をとらえることが大切だとおもいます。

150425b 伝記と時代

本書にかぎらず、あらたに何かを理解しようとおもったら、その中心人物の伝記とともに、その時代を記述した歴史書をあわせて読んでみることをおすすめします。この方法は、比較的短時間でその分野について認識をふかめることにもつながるとおもいます。



▼ 引用文献
中村元著『ブッダ入門』春秋社、1991年9月10日
ブッダ入門 
中村元著『古代インド』(講談社学術文庫)、講談社、2004年9月10日
古代インド (講談社学術文庫) 


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