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写真1  21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン)

東京ミッドタウン・ガーデンにある “21_21 DESIGN SIGHT” で開催されている企画展「単位展 - あれくらい それくらい どれくらい?」(会期:2015年5月31日まで、注1)に行きました。単位を「体験」できるとてもめずらしい企画展でした。

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写真2 会場内部

単位とは、そのままではとらえにくい世界に一定の基準をもうけることによって比較や共有を可能にした知恵と思考の道具です。長さをはかるメートル、重さをはかるグラム、時間をはかる秒など、わたしたちの身のまわりにはさまざまな単位があり、生活するうえで欠かせないものとなっています。

設計・製作・流通・販売などの物づくりや経済活動においてさまざまな単位がもちいられています。グローバル化がすすんだ今日、「世界共通語」としての単位の必要性も見のがせません。

本展は、普段は何気なくつかっている単位を見たり触ったりして実体験し、単位から、社会的背景や文化をとらえなおすまたとない機会でした。

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写真3 メートル原器(レプリカ)
メートル原器は1mの基準として1799年に製作され1960年までつかわれていました。
北極点から赤道までの長さの1000万分の1の長さです(注2)。 


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写真4 基準点(測量のための)

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写真5 単位の体験
単位を実際にさわって体験することができます。

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写真6 1GB(コンピュータの単位)
左:1GB のテキスト、中:1GB のカラー静止画、右:1GB のカラー動画、
1GB の情報量を視覚化して比較していました(注3)。

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写真7 ボリュームの比較(注4)
 
 
単位にはつぎの6つのはたらきがあります。

1.はかる
長さや重さ・時間などをはかります。

2.情報を共有する
ある量がわかったら、その数値と単位を記録してつたえることにより、はなれた場所にいる人と情報を簡単に共有することができます。

3.規格化する
ある量の単位を基準にすることにより、それに合わせて物づくりを統一的におこなうことができます。

4.くらべる
目の前に物がなくても、長い短い・速い遅い・重い軽いなどを数値でくらべることができます。

5.計算する
何杯いれるとどのくらいの量になるとか、これとあれをつなぐとこの長さになるとかを計算して予測することができます。

6.変換する
[km] ÷ [h] = [km/h](時速)というように、単位をくみあわせて別の単位をつくることができます。


このように単位は、物事を定量的にとらえることを可能にし、物事に普遍性(グローバル性)をもたせることに成功しました。また単位とは何かを構築するときの単位でもあり、まず単位を明確にし、そしてその小さな単位を構築して大きな物をつくるということになります。

今回の企画展は、こうした単位とその重要性について数字や理屈ではなく視覚的・体験的にまなべる貴重な機会でした。



▼ 注1

▼ 注2:1メートルの定義
メートル原器は、温度変化によってほんのわずかに伸縮する問題がありましたので、1983年、1メートルの定義は、「光が、真空中を 2億9979万2458分の1秒のあいだにすすむ距離」にあらためられました。

▼ 注3:1GB(コンピュータの単位)
テキストをつかった場合は1GB だと膨大な量の情報をとりあつかえます。カラー動画をつかった場合は(解像度によりますが)数秒しかうつしだせません。いいかえると、カラー動画は膨大な量のメモリーが必要ですが、テキストは小さなメモリーですみます。テキストの方がとりあつかいが容易です。情報処理をすすめるうえでのヒントのひとつがここにあります。視覚情報をテキスト化する(テキストに変換する)と情報が軽くなりとりあつかいが容易になります。視覚情報とテキストとをうまくつかいわけ、それらをくみあわせて運用していくのがよいです。

▼ 注4:ボリュームの比較
左手前の豆本を単位とした場合、右奥は最大の構築物になります。これらを著作物(アウトプット)とかんがえた場合、右奥は事典とか著作集ということになります。まず単位を明確にする、単位をつくることが必要です。そして、どの程度の量あるいは大きさのアウトプットをするか構想します。量や大きさを数値や理屈ではなく視覚的・空間的にとらえられるのが本企画展の特色でした。

▼ 参考図書
丸山一彦監修『目でみる単位の図鑑』東京書籍、2014年8月8日

▼ 参考記事
イメージで単位をとらえる -『目でみる単位の図鑑』-