METライブビューイングで、グノー作曲《ファウスト》 (新演出オペラ)をみました。
指揮:ヤニック=ネゼ=セガン
演出:デス=マッカナフ
出演:ヨナス=カウフマン(ファウスト)、マリーナ=ポプラフスカヤ(マルグリット)、ルネ=パーペ(メフィストフェレス)
MET上演日:2011年12月10日
上映時間:3時間53分(休憩2回/新宿ピカデリー)
オペラの原作はドイツの文豪ゲーテ、一生を高邁な学問に捧げた老哲学者(ファウスト)が、悪魔(メフィストフェレス)の助けをかりて青春を取り戻し、人生遍歴に出るという話です。
今回の新演出では、主人公ファウストは物理学者、幕開けは原爆投下後の世界と設定されています。ナガサキをおとずれたある物理学者が、人類を不幸へとみちびく物理学と決別したという実話にヒントを得たといいます。
物理学者ファウストと、悪魔メフィストフェレスの二人はほとんど同じ服装をしています。青年になったファウストは白のスーツ姿で胸に白いバラの花、一方のメフィストフェレスも白いスーツに赤いバラをかざっているというように。これは、悪魔メフィストフェレスは、物理学者ファウストの内面の化身であることをあらわしているのだといいます。つまり、悪魔は、実は、ファウスト自身の心の中にいるのです。外にいるのではなくて。
これは、人間の真理をついた演出です。悪魔は自分の心の中にいる。すべては自分の心の中のできごとである。すべては自分の心の中からひきおこされる。原爆もこのようにして生じてきたのです。
MET:The Metropolitan Opera