本書では、適切なリードをしめすことがとても重要であると論じています。要点は次の通りです。

わかりやすく相手につたえるためには、まず冒頭に、リードあるいは「つかみ」をしめすのがよいです。わかりやすいキーワードは「つかみ」につかえます。口頭発表ではパワーポイントをつかうことが最近は多く、その際、各スライドにはキーワードだけをしめし、それらを順次1行ずつ見せていきたいです。そして最後に冒頭の「つかみ」にもどります。

アウトプットをしてみることでインプットの方法が見えてきます。他人に説明することを念頭に色々なことをしらべてみるのがよいです。世界各国で発売されている世界地図をあつめてみると世界が多角的に見えてきます。また新聞(紙面)は「ノイズ」にあふれているのがよく、新聞をくまなく読んでいると知識が自然に増えます。そして、自分が持っているバラバラな知識が一つにまとまってくると、それがつまり「わかる」ということです。

本書は、テレビの現場でつちかったノウハウに基づいてわかりやすく伝える技術を解説しています。最近は、パワーポイントをつかった口頭発表をすることが多いので、そのために具体的に役立つ方法が満載です。特に、言語と図解の両者を相互補完的にもちいると効果があがるという観点は重要であり、パワーポイントで写真をしめす場合にも、同時に言語で要点を記しておくと理解がすすみます。こうしてわかりやすい口頭発表をすれば、それを録音して後で文章化することも円滑にすすみます。

関連書に、池上彰著『「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!伝える力』(PHPビジネス新書、2007年)があり、ここでは、仮説を柔軟に修正することが論じられています。

文献:池上彰著『わかりやすく〈伝える〉技術』講談社現代新書(2009年)。