「NHK 100分 de 名著」(2011年9月)で、『ブッダ 真理のことば』(注)が紹介されました。これは、ブッダの言葉を短い詩の形にして423句あつめた『ダンマパダ』から要点をとりあげたものです。その構成は以下の通りです。
第1回:生きることは苦である
第2回:うらみから離れる
第3回:執着を捨てる
第4回:世界は空なり
『ダンマパダ』は、この世の事物には固定した本質はなく、永続的なあらわれは何一つないとことを「空にして無相」と説明しています。同様なことは、『スッタニパータ』でもとかれ、「ここに自分というものがあるという思いを取り除き、この世のものは空であると見よ」(スッタニパータ1119)とし、すべてのものごとに永遠の実体はないという真理をしめしています。
また、「釈迦の仏教」では、この世の出来事はすべて、原因と結果の峻厳な因果関係にもとづいてうごくと説明します。自分がなしたことの結果はかならず自分にかえってきます。人は、自分の行為に対して100%その責任を負わねばなりません。
「釈迦の仏教」は自己鍛錬システムとしての性格がつよく、自分の救済者は自分自身です。「空」を自覚し、自分をただしく制御するれば結果はかならずかえってくるとおしえています。