『日本語表記ハンドブック』は、「常用漢字」や「現代仮名遣い」「同音異義語のつかいわけ」「外来語の表記」など、日本語の表記法の目安・よりどころをしめした本です。
日本語を書くということは(日本語の作文は)、人がおこなう情報処理でいうアウトプットのもっとも重要な方法であるといえるでしょう。
わたしは、日本語の作文のために役立つ本はなるべくチェックするようにしています。日本語の作文技術については、本多勝一さんが非常にわかりやすくその原則を整理してくれたのでそれをつかえばよいでしょう(注1)。つぎには日本語の表記法の問題があります。本書はまさにそれを整理・解説したものです。
目次常用漢字表書体について昭和五六年版常用漢字表と平成二二年版常用漢字表との対比当用漢字表等と昭和五六年版常用漢字表との対比当用漢字表(まえがき/使用上の注意事項)常用漢字の筆順学年別漢字配当表「異字同訓」の漢字の使い分け例同音異義語の使い分け書き間違いやすい漢字同音の漢字による書きかえ日本新聞協会の、同音の漢字による書きかえ人名用漢字別表現代仮名遣い送り仮名の付け方敬語の指針公用文における漢字使用等について公用文作成の要領くぎり符合の使い方くり返し符号の使い方横書きの場合の数の書き表し方外来語の表記ローマ字のつづり方表外漢字字体表常用漢字表 総画索引常用漢字表 音訓索引
本書は、内閣告示・旧文部省告示・国語審議会報告、その他の国語施策資料を原文のまま収録し、それぞれが、いつ・どんな目的でだされたものかも注記し、わかりやすくしめしています。
今回本書を読んでみて、英語などにくらべて日本語は表記法が複雑だということをあらためて認識しました(注2)。
公用語としての現代日本語の表記法について経験と勘だけにたよるのではなく、本書をとおしてその標準を知っておくことには意義があるとおもいます。本書は全300ページ程度の「ハンドブック」であって、誰でも気軽に読める構成になっています。
▼ 引用文献
三省堂編修所編『新しい国語表記ハンドブック 第七版』三省堂 (2014/12/23)
新しい国語表記ハンドブック 第七版
▼ 注1:日本語の作文技術について
▼ 注2:日本語の表記法の複雑さに関連して
日本語は発音は簡単ですが、それにくらべて表記法(書きあらわし方)はとても複雑であるということがよくわかります。そのためたとえば外国人が日本語を習得する場合、会話はすぐにできるようになりますが、読み書きは何年たってもできないというケースが非常に多くみられます。