国立国語研究所編『分類語彙表』とは、日本語の単語を意味によって分類・整理てし一覧できるようにした非常に役立つ類義語集(シソーラス)です。これをつかえば、作文の際に より適切な表現をえらび、また同一表現の単調なくりかえしをさけることができます。
わたしは初版を長年重宝してきましたがこのたび増補改訂版を買いました。増補改訂版には「分類語彙表」の PDF 版が入った CD-ROM が付属していますので、自分のハードディスクなどにこれをコピーしておけばいつでもどこでも「分類語彙表」を参照することができとても便利です。
単語の分類は、まず大分類「類」」として、
「1.体の類(名詞の仲間)」
「2.用の類(動詞の仲間)」
「3.相の類(形容詞の仲間)」
「4.その他の類」
に分けられています。
これらの「類」は「部門」に細分され、
「1.抽象的関係」
「2.人間活動の主体」
「3.人間活動 - 精神および行為」
「4.生産物および用具」
「5.自然物および自然現象」
といったように分類されています。
といったように分類されています。
分類表(横軸は「類」、左側の列は「部門」)
さらに「部門」は「中項目」そして「分類項目」の順に細分されています。
「分類項目」と類語
「分類項目」と類語
本書は、ほかの類語辞典とはちがい類語(単語)のみが掲載されていて、それぞれの単語の意味はでていません。したがっていわゆる類語辞典とはことなります。意味がでていないんだったら何の役にたつのだろうかと疑問をもつ方もいるかもしれませんが、これは、五十音順の辞書とは観点や利用法がまったくちがいます。
類語(単語)のみが掲載されていているために類語の一覧性が非常に高くなり、分類体系をくっきりとうかびあがらせることに成功しています。一覧性がよいために視覚的空間的に似ている単語をすぐにさがしだせ、分厚い類語辞典よりも実用的です。
似ている単語をさがしだしたら同時に周囲の単語もみるようにします。さらに前後のページもめくってみて、周辺の多くの類語の「群れ」とともに空間的構造的にその単語をとらえるようにします。類語のひろがりをみつめ、そのひろがりのなかで目的の単語を位置づけてとらえなおすことが大切です。
似ている単語をさがしだしたら同時に周囲の単語もみるようにします。さらに前後のページもめくってみて、周辺の多くの類語の「群れ」とともに空間的構造的にその単語をとらえるようにします。類語のひろがりをみつめ、そのひろがりのなかで目的の単語を位置づけてとらえなおすことが大切です。
したがって本書は、適切な類語をすばやくさがしだして体系のなかでとらえなおすという観点からはとてもつかいやすいといえます。
単語そのもののくわしい意味を知りたいときは、すぐれたインターネット辞典がいくらでもほかにありますのでそれをひけばよいでしょう。
▼ 文献
国立国語研究所編『分類語彙表』(増補改訂版)大日本図書、2004年1月30日
分類語彙表 (国立国語研究所資料集)
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