読む側にとってわかりやすい文章を書くための本です。これは作文の「技術」である以上、訓練をすれば誰でもできるようになるというものです。約30年間にわたってわたしはつかっています。

以下に、日本語の作文技術の原則をレベル別に整理しました。

■ 日本語の作文技術の基本原則(初級レベル)は以下の通りです。
1. 修飾する言葉とされる言葉がはなれすぎない。
2. 句を先に、詞をあとに。
3. 長い修飾語は前に、短いほど後に。
4. 大状況・重要な言葉ほど前に。
5. 親和度(なじみ)の強弱による配置転換。
6. テン
 6-1. 長い修飾語長い修飾語が2つ以上あるとき、その境界にうつ。
 6-2. 逆順ある語を強調するため、修飾語の語順が原則の逆順になる場合にうつ。


■ 表記法の原則(中級レベル)は以下の通りです。
1. ナカテン:並列や同格の語のあいだにつかう。
2. 二重ハイフン:力夕カナの固有名詞などを列挙するときにつかう。
3. 力ギカッコ
 3-1. 引用は、あくまで原文や発言のままカギカッコの中にしめす。
 3-2. 自分達ではつかわないが相手側がつかう言葉をそのままつかう場合にはカギ力ッコに入れる。
4. ヒゲカッコ:「本当はそうではない」ときとか、「いわゆる」つきのときにつかう。
5. テン
 5-1. 状況により、筆者の考えをテンにたくす場合として、思想の最小単位をしめす自由なテンをうつ。
 5-2. 構文上高次元のテン(文のテン)を生かすためには低次元のテン(句のテン)はのぞく。
6. マル:思想の最小単位を組みあわせた最初の「思想のまとまり」をしめす。文が終わったら必ずマルをつける。
7. 段落:かなりまとまった思想表現の単位であり、足でいえば、各部分の境の関節が改行である。
8. :人体にたとえれば、足・腹・頭といった大きな部分であり、人体という全思想を形成するための大きな構想である。
9. 送りがな:語尾変化可能な部分以下をすべて送りがなにする。
10. 外国語のカナ表記
 10-1. 実際にそのカナを発音してみて、どれが言語により近いかをかんがえる。
 10-2. 日本人にとって発音しやすい(視覚的にもわかりやすい)方をとる。
11. 文をわかりやすくする工夫:カナばかり続いて読みにくいところができてしまったら、まず漢字、次いで傍点や力夕カナを考え、それでもダメ な場合には分かち書きをする。

さらに上級レベルとしては無神経でない文章、リズムと文体、取材法などがありますが、これらは本書をご覧ください。

初級レベルをまずは実践し、わかりやすい日本語そして達意の文書が書けるように訓練をつんでいきたいものです。なお初級・中級・上級のレベル分けはわたしがしたものです。


▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)、朝日新聞出版、1982年
日本語の作文技術 (朝日文庫)


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