梅棹忠夫著『知的生産の技術』は知的生産について論じた古典として読みつがれています。

本書でいう「知的生産」を情報処理の観点からとらえなおしてみると、よくできたアウトプットを知性をつかって生産的にすることであるとかんがえられます。

情報処理<インプット→プロセシング→アウトプット>をわたしたちはつねにおこなっています。人を、情報処理をする存在としてとらえた場合、知的生産はアウトプットにあたります。わたしたちはこのアウトプットにもっと労力をそそがなければなりません。知的生産をするとはそういうことでしょう(図1)。

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図1 力づよいアウトプットをする
(インプット→プロセシング→アウトプットは情報のながれ)


具体的にとらえると、見たり読んだり発見したりすることは情報をインプットすることです。インプットされた情報を理解することなどはプロセシングです。記録をとることはアウトプットすることです(図2)。

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図2 情報処理の具体例
 

いわゆる学ぶということはインプットとプロセシングにあたります。学ぶことは非常に大切なことですが、一方でアウトプットがないと、ひたすらただ学ぶだけでおわってしまうということになりかねません。たとえば学校教育はインプットに極端にかたよりすぎているようにおもいます。あるいはテレビを見ているだけだとインプットだけでおわってしまいます。

そこでアウトプットにもっと力をいれようということになります。梅棹忠夫さんの「知的生産」という言葉からはそのようなメッセージがよみとれます。

初歩的なアウトプットは記録するということであり(図2)、記録のためには手帳・ノート・カード・スマートフォンなどをつかいます。『知的生産の技術』の「発見の手帳」の説明はおもしろいです。

そして記録を蓄積したらそれらを処理して日本語で文章を書きます。そのためには「こざね法」が役立ちます。「こざね法」とはファイル操作を補助し文章化をすすめるための手段としてつかえます。

インプットの効率をあげてそれにかける時間をすくなくし、アウトプットにもっと時間をさいて知的生産を積極的におこなったほうがよいでしょう。アウトプットに必要な時間を意識的に確保していかなければなりません。アウトプットをすることにより、さかのぼって理解も一層ふかまります。

アウトプットに重点をおくことはオリジナルな自分のメッセージをつたえることに通じます。オリジナリティをみがきながら生産的な日々をすごしていきたいものです。


▼ 注
日本語をつかったアウトプットのためには「日本語の作文技術」がつかえます。
「日本語の作文技術」をつかいこなす - まとめ(リンク集)-

▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』岩波新書、1969年7月21日
知的生産の技術 (岩波新書)

▼ 関連サイト
梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす