本多勝一著『実践・日本語の作文技術』の付録ではわかりやすい説明文の書き方について解説しています。ルポルタージュについておもにかたっていますが、説明文を書くときの参考になりますので以下に要約しておきます。
ルポルタージュができるまでには(1)企画、(2)取材、(3)構成、(4)執筆・発表 のプロセスがあります。
企画・取材では、それまでのたくさんな報道で欠けているものは何か。それをさぐるようにします。そして一つの世界にはいりこんで内側から一つの世界を見ていきます。
現場では底辺をくわしく取材すると結果を間違いません。間接情報をつかっていると判断をあやまります。「××村の太郎さん」というように個体識別をして具体的な事実をあつめるようにします。
こうして抽象的なものより具体的なものを書くようにします。
たとえばうつくしい風景があったとして、「きれいだ」といくら書いても相手にはつたわりません。うつくしいと風景が感じさせた材料をそのまま書かなければなりません。
いくつもの事実があきらかになった場合、たとえばABCDEという5つの事実があるとすると、5つのなかでもっともおもしろい事実(たとえばD)をくわしく具体的にせまくふかく書くようにします。のこった4つについてはDを補強する形でつかいます。全体で100の説明をするとしたら、その内容の80は一つのことだけを書く。のこりの20で4つのものをかるく書きます。
書き出しについては、もっとも関心の度合いの強い部分にいきなり最初からはいってしまうのがよいです。
どんなものを書くにも立場があります。立場のない立場というものはありえません。
くわしくもっと説明したいということが生じたら本文とは独立に最後に注をつけるとよいです。こうすれば本文の流れを変えないですみます。
表現というものは相手あっての表現だということをわすれてはなりません。
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本書ではふれられていませんが情報処理の観点からみると取材とは見たり聞いたりすることであり、インプットにあたたります。作文は書きだすことであり、アウトプットにあたります(図1)。

図1 取材はインプット、作文はアウトプット
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